
ECでは代替できない、リアルな商業施設の価値とは何か。地域の作り手を集め、100年先を見据える「ヴィソン(VISON)」。野菜から骨董、ヤギまでを擁する「産直市場グリーンファーム」。さらに、街そのものを編集する駅直結型施設「ニュウマン高輪」、アリーナと連動する「ららぽーと TOKYO BAY」、公園と一体化した「グランベリーパーク」といった異なる街で、それぞれの方法で滞在の理由をつくっている。売り場の効率や買い物の利便性だけでは測れない、偶然の発見と体験が人を呼び、施設の個性と継続的な成長につながっている。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月3&10日合併号からの抜粋です)
ニュウマン高輪
運営会社:ルミネ 所在地:東京都港区/JR高輪ゲートウェイ駅前・直結 延床面積:約6万㎡ 店舗数:約200店舗(ファッション、ライフスタイル、グルメ、サービス等) 開業:2026年3月(全面開業) 主なトピック:ルフトバウム(28・29階)に500本以上の植物を配した「都心の別荘」。カジュアル〜高級まで飲食11店舗、客席計1000席超。ラ・メゾン・デュ・ショコラの世界初カフェ併設型コンセプトショップ
100年先を見据え
ルミネらしさ、“非効率”で磨く
2026年3月の「ミムレ(MIMURE)」開業で、ニュウマン高輪は全面開業を迎えた。それから約4カ月。ルミネ史上最大となる延べ床面積約6万㎡、約200店舗の大型施設は、従来のルミネとは異なる歩みを見せる。ニュウマン高輪の鈴木和馬店長がまず口にするのは「滞在」という言葉だ。通常のルミネの入館ピークが夕方なのに対し、ニュウマン高輪は14時。子どもから高齢者まで客層は幅広く、休日は入館客数が駅の乗降客数を上回る日もあるという。「目的であると同時に、滞在の場。街の重要な機能を担う施設として、全く違う作り方をした」。オフィスやレジデンス、インターナショナルスクールはまだ稼働し切っておらず、周辺の人流が完成するのは来年以降。それでも「滞在性は、想定通りに作れている」と手応えを語る。
施設が掲げるのは「100年先のまだ見ぬ生活価値創造」という長期的な視座。抽象的なコンセプトを、鈴木店長は日々の運用に引き寄せて説明する。「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」や、アクアポニックスを用いたボタニカルラボの週次イベント、日本酒文化を更新する取り組みなど、商業施設の枠を超えた企画を重ねる。「街作りを掲げる以上、本質的な価値を積み重ねる。非効率でも、一歩ずつの積み重ねが100年先につながると考えている」。テナントである中川政七商店やバーミキュラ(VERMICULAR)と組んだ産地ツアーも予定するなど、テナントと一体となった価値づくりに取り組んでいる。
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