エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC )は、ロンドン発のラグジュアリースキンケアブランド「ワンワンワンスキン(111SKIN)」に少数株式を取得したと発表した。取引条件は非公表。今回の出資により、主力であるスキンケア分野への投資を一層強化する。
「ワンワンワンスキン」は2012年、形成外科医であるヤニス・アレクサンドリデス(Dr. Yannis Alexandrides)と妻で共同創業者のエヴァ・アレクサンドリデス(Eva Alexandrides)が創業。ロンドン・ハーレーストリート111番地にある同医師の美容外科クリニックでの施術に着想を得た製品開発を特徴とする。
ポートフォリオ強化の一環で少数出資
今回の出資は、ELCが近年進めるポートフォリオ強化戦略の一環だ。地域や流通チャネルの“空白”を補完する動きとして、24年末にはメキシコ発フレグランスブランド「シヌ(XINU)」に出資、25年3月にはインドのアーユルヴェーダブランド「フォレスト エッセンシャルズ(FOREST ESSENTIALS)」の残り株式51%の取得も発表している。
一方で同社は現在、プーチ(PUIG)との合併の可能性についても協議中で、実現すれば年間売上高200億ドル(約3兆1800億円)超規模の企業が誕生する見通しだ。
ELCのステファン・ドゥ・ラ・ファヴリー(Stephane de La Faverie)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「スキンケアは施術、美容、長寿の融合によって新たな段階に入っている。消費者は目に見える結果をもたらすトリートメント発想の製品を求めている」とコメント。「『ワンワンワンスキン』は、35年以上にわたる外科・美容施術の経験を背景に、臨床知見や次世代成分を取り入れた高機能スキンケアを展開しており、この変化を体現している」と評価した。また今回の出資については、「消費者の購買行動をより反映させる『ビューティー・リイマジンド』戦略の一環」と説明。「同ブランドの独自性を維持しながらグローバル展開を加速させる」とした。
施術発想とD2Cで成長する「ワンワンワンスキン」
「ワンワンワンスキン」はD2C(直販)にも注力しており、売上高の約20%を占める。地域別では北米が約40%を構成し、中国、英国、欧州、アジア太平洋も主要市場だ。業界関係者によると年間売上高は4000万〜5000万ドル(約53億〜79億円)規模とみられる。
「ワンワンワンスキン」の創業者は「エスティ ローダーとのパートナーシップにより、新たな成長フェーズに入る」とコメント。同社のヴァネッサ・ゴデヴリンド(Vanessa Goddevrind)CEOも「さらなる成長に向けて協業を強化する」と述べた。なお経営陣は留任する見通しだが、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)の投資会社SKKYパートナーズ(SKKY PARTNERS)など既存投資家の動向は明らかになっていない。
ELCは現在、事業ポートフォリオの見直しも進めている。関係者によると「トゥー フェイスド(TOO FACED)」や「スマッシュボックス(SMASHBOX)」の売却を検討しているほか、「ボビイブラウン(BOBBI BROWN)」はノードストローム(NORDSTROM)を除き百貨店流通から撤退する見通しだ。