ファッション

「アンリアレイジ」×「攻殻機動隊」 パリで見せた“光学迷彩”を森永邦彦デザイナーが振り返る

アンリアレイジ(ANREALAGE)」2026-27年秋冬のテーマは“GHOST”。押井守監督が1995年に手掛けたアニメーション作品「攻殻機動隊 / GHOST IN THE SHELL」とのコラボレーションにより実現した同コレクションは、現地時間3月3日にパリ・ファッション・ウイークで発表し注目を集めた。

LED電飾を用いた服や、“心臓のある”動く服など、毎シーズン「まだ来るか!」と思わせる「アンリアレイジ」。今回のコレクション“GHOST”では、同作で登場する全身義体のサイボーグ、草薙素子(くさなぎ・もとこ)が使用する“光学迷彩”を、より軽量化したLED電飾で表現した(“光学迷彩”とは、周囲の背景映像を義体に投影することで、風景に溶け込んで自身の姿を消すことができる技術)。「アンリアレイジ」のコレクションでは、1着につき約2万個の電飾を配置。それぞれの電飾の位置情報をプログラミングで連動させることで、2029年を舞台に描かれた同作の“光学迷彩”を形にした。

“光学迷彩”を現実世界へ
コレクション“GHOST”を振り返る

WWD:「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」とのコラボレーションに至った背景は?

森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナー(以下、森永):1年ほど前、“SCREEN”の作品を見た「攻殻機動隊」の展覧会を手掛けるチームから「草薙素子が都市の背景と同化していくシーンを、服で再現できるのではないか」と連絡をもらった。素子が消えていくあのシーンは、ただのSFではない。自分がどこにいるのか、自分がどこまであるのか、存在の輪郭そのものを問うシーンであり、LEDをプログラムして柄が変化する洋服が表現できる可能性と、深いところで重なっている。東京ノードで開催された「攻殻機動隊展〜Ghost and the Shell〜」にLEDドレスを展示したことをきっかけに、パリ・ファッション・ウイークでの協業に向けて動き出した。

WWD:同作について、森永デザイナーが面白いと思う点は?

森永:約30年前に、すでに“今”を描いていたということ。AIが発達し、SNSの中で個性があいまいになっていく。作中で起きていたことに、今現実が追いついてきている。でも、“光学迷彩”だけはまだ現実になっていなかった。技術が現実に追いつくより先に、想像力が先行していた物語に、服が追い付きたいと思った。

WWD:同作の物語の舞台は2029年。今から3年後、よりブラッシュアップして“光学迷彩”をさらに現実に近づけられるか?

森永:できると思っている。パリではネットワーク環境の都合上、モデルの立ち位置をフィジカルに細かく設定する必要があった。でも着ている服が自動で背景と同期するプログラムを組めば、本当の“光学迷彩服”が実現出来る。日本のネットワーク環境なら、左右の移動はすでに自動追尾できる。2029年まで、あと3年。本当の“光学迷彩服”は実現可能だと思う。

WWD:LEDを使用したルックが目立つ一方、ショーの前半ではフラワー柄などを用いた親しみやすいルックが登場した。

森永:前半は“GHOST”をLED以外の方法で表現した。作中で“ゴースト”とは、人間の魂のこと。サイボーグになっても、ネットと脳が接続されても、消えないはずの何かーーその“人間らしさ”を、70年代のヒッピーやボヘミアンのムードで表現したかった。花柄に見えるプリントは、近くで見るとぼやけて輪郭がない。ある距離を置いて初めて、“花”として存在する。素子が「自分はどこまでが人間なのか」と問い続けたように、この服も、どこまでが柄でどこまでが背景なのか、境界を持たない。人間とサイボーグのあいまいな境界線を花で描いた。

驚きの発表が続く「アンリアレイジ」。最後に「ひとまずパリを終えて、少し落ち着くのでしょうか?」と尋ねると、「いや、まだ、色々なことがありますね(笑)」と森永デザイナー。今後も目が離せなそうだ。

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