
特殊機能紙メーカーのセキネシール工業が、自動車部品材の廃材を活用した紙製ゴミ箱「カミカ ビン(KAMIKA BIN)」を発表した。インダストリアルデザイナーのNAO IWAMATSUと協働し立ち上げたプロダクトブランド「カミカ(KAMIKA)」の第一弾として、2月4日から公式オンラインストアで販売を開始する。
自動車産業を支えてきた「見えない紙」を、暮らしの中へ
「カミカ ビン」の素材は、自動車エンジン部品の接合部に用いられるガスケット紙。オイルやガソリンの漏れを防ぐために使われるこの特殊機能紙は、耐熱性・耐久性に優れる一方、生産工程で大量の廃材が発生してきた。
セキネシール工業では、この汚泥状の廃棄物処理に年間約700万円のコストと多くの手作業を要していたという。本来は高品質な素材でありながら、用途を失った瞬間に「廃棄物」になってしまう、その矛盾を起点に、「資源として循環させる道」を探るプロジェクトが始まった。
再生された特殊紙は、一般的な紙よりも密度が高く、しなやかで、革のような滑らかさを持つ。モニターからは「紙のようで紙じゃないみたい」という声も上がったという。
底をなくした筒状の構造は、形を自由に変えられるのが特徴。隙間に合わせて差し込めるため、空間に過度な主張をせず、暮らしに自然と溶け込む。サイズはS・M・Lの3種展開で、家庭用からオフィスまで幅広く対応する。
「カミカ ビン」は、使い終わった後の回収と再生までを前提に設計されたプロダクトだ。購入後、買い替えのタイミングで使用済み製品をメーカーに返送すると、新たな「カミカ」製品へと再生され、次回購入時に使える30%オフクーポンが付与される。ゴミ箱を「粗大ゴミとして捨てる」必要がなくなる。長く使うこと、そして同じ循環の中で気軽に更新できること。その選択自体が、次の循環への入口になると考える。
BtoB企業が、生活者とつながるために
約80年にわたり、自動車産業を支えるBtoBメーカーとして歩んできたセキネシール工業。安全性と性能を最優先に、目に見えない領域で価値を提供してきた同社にとって、BtoCプロダクトは「自分たちの仕事を直接伝える」ための新たなタッチポイントでもある。
和紙づくりに源流を持ち、時代に応じて技術を編み直してきた同社は今、「世界に誇れる特殊機能紙メーカー」というビジョンのもと、循環型ものづくりへと舵を切る。その象徴が「カミカ ビン」だ。
NAO IWAMATSUは、本製品についてこう語る。「ゴミ箱は、暮らしの中で必ず必要だけれど、できるだけ主張しない存在でもある。その最小限の役割を、最小限の構造で果たしたかった」輸送方法にも工夫を凝らし、製品は平面状のシートを巻いた状態で届く。使う人が自ら組み立てることで、無駄な梱包や空気の輸送を減らした。
S・M・Lの3サイズ展開で、価格はSサイズが2個セットで2100円、Mサイズが3300円、Lサイズが4500円。