国内製造の木製家具メーカー、カリモク家具はこのほど、「アシックス(ASICS)」製シューズが由来のリサイクル材料に用いた3種類のソファを製作した。一般販売の予定はなく、現在アシックスジャパン本社のVIPラウンジとワーキングカフェ、オープンミーティングスペースに全14台が設置されている。
今回の取り組みは、「アシックス」が昨年からヨーロッパ限定で販売しているスニーカー“ネオカーブ(NEOCURVE)”の製造技術を応用して実現した。“ネオカーブ”は、オランダに拠点を置くシューズリサイクルメーカーのファストフィートグラインド(FastFeetGrinded)の独自技術を駆使し、「アシックス」製シューズのデッドストックやサンプル品を分解したリサイクル材料を用いて生産されている。
そして、ソファの座面にリサイクル材料のうちのフォーム材(EVA)を採用しており、カリモク家具がシューズ由来の材料から家具製品を制作するのは、これが初めて。フォーム材と綿を混合させることで反発性やクッション性を調整し、座面上部にはフォーム材を固めた3mm厚のシートを重ねることで適度な剛性をもたせ、座り心地を向上させているそうだ。
村岡秀俊「アシックス」サーキュラーエコノミー推進部部長は、「このプロジェクトは、シューズのリサイクル材料を自社製品だけでなく、他業種にも活用できる可能性を探ることから始まった。『アシックス』はシューズの快適性を追求し、カリモク家具は座り心地の快適性を重視するという、製品設計に対するアプローチが近い点が共通している。今回のソファは、カリモク家具の開発チームがリサイクル材料の特性を生かし、最適な快適性を実現してくれた。今後も、循環型モノづくりに向けての取り組みを続けていきたいと考えており、その中でさまざまな可能性を検証していく予定だ」とコメント。また、池田令和カリモク家具事業開発本部主席も、「家具の内装部材にリサイクル材料を活用することは、弊社にとって新たな挑戦だった。未知のフォーム素材に試行錯誤しながら、弊社が長年培ってきた座り心地へのノウハウを生かし、新たな価値を創造できたことは大きな喜びだ。この経験を糧に、今後も異業種との連携を深め、新たな素材や技術を取り入れながら、家具のさらなる価値創造に挑戦していきたい」としている。
なおソファの他に、シューズに使われていた繊維を30%混入させた糸を表面の生地に使用した吸音パネルも制作し、アシックスジャパン本社の5つの会議室に計24枚が採用された。