旭化成は12月8日、子会社の染色企業、富士セイセン(山梨県富士吉田市)を清算すると発表した。2027年3月末で生産を終了し、28年6月末で清算する。富士セイセンは、裏地生産の一大産地である富士吉田で、裏地用の糸やテキスタイルの染色・加工を一手に引き受ける重要な企業。旭化成は1960年に出資し、70年以降は社長を派遣してきた。ただ、22年に宮崎県延岡市にある旭化成のベンベルグ工場で火災があり、「ベンベルグ」生産が著しく減少し、富士セイセンも苦境に陥っていた。
富士吉田産地は、裏地生産に特化した中小・零細企業が集積しており、富士セイセンの清算は影響が大きい。そのため旭化成は「富士セイセンが長年培ってきた技術・設備・サプライチェーン等については、今後も産業の発展に活かしていくことが望ましいと考えており、こうした有形・無形資産の活用にご関心をお持ちの企業・団体と、建設的な対話の機会を広く歓迎しております」とし、生産継続や設備移転などに力を尽くす考え。
旭化成は12月1日に子会社の繊維商社の旭化成アドバンスを、帝人フロンティアと統合すると発表したばかりで、旭化成アドバンスも富士セイセン株を31%所有していた。