ファッション

古着から生まれたドレスやバクテリア染色も 中里唯馬のファッションプログラムが授賞式

デザイナーの中里唯馬が発起人の未来のデザイナーを育成・支援するファッションアワード「ファッション フロンティア プログラム(FASHION FRONTIER PROGRAM)」は12月5日、2023年度の授賞式を東京・九段下で開催した。7人のファイナリストのなかから、川尻優さんの作品がグランプリを受賞した。

同プログラムは、社会的責任と創造性への高い意識を併せ持つ作品を評価する。審査員は、栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問、ファッションジャーナリストの渡辺三津子、モデルの冨永愛らが務める。今年度は初めて海外から2人の審査員も加わった。

グランプリを受賞した川尻さんは、古着からもう一度糸を紡ぎ、編み込んで新たなドレスを製作した。授賞式で川尻さんは、過去の持ち主の思いをひも解き、未来につなげていくストーリーを語った。審査員の栗野は、「最終審査は白熱した討論だったが、川尻さんの作品には頭一つ抜けた強さを感じた。ファッションは、科学の力と職人のハンドクラフト、そして人間性に対する尊重があって初めて未来に生き残れる。それがうまく表現されていた」とコメントした。

準グランプリには、バクテリアによる染色技術を用いたドレスを製作したジュリア・モーザー(Julia Moser)さん、きびそと呼ばれる繭の外側の部分の糸や工場から出る残糸をレザーのような質感のシート状にして組み立てた立体的なドレスを製作した池部ヒロトさんが受賞した。

国立新美術館でファイナリストの作品を展示

中里デザイナーは、「年々レベルが上がっていると感じる。ファイナリストはそれぞれ違った視点で社会に対して重要なメッセージを発信している。ここからいろんな対話や議論が生まれてほしい」と話した。

本年度は国内外の応募者から選出されたセミ・ファイナリスト16人を対象に、夏から秋にかけて教育プログラムを提供した。中間審査に通過した7人のファイナリストは素材紹介や技術アドバイスを経て制作を進めた。12月13〜25日には、国立新美術館で23年度のファイナリストの作品展示が行われる。

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