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旭化成の「ベンベルグ」がよりサステイナブルに 加工工程でも環境負荷軽減

 旭化成が世界で唯一生産するキュプラ素材「ベンベルグ(BEMBERG)」がさらにサステイナブルになる。「ベンベルグ」は本来繊維として使用されないコットンの種の外皮に生えている産毛のコットンリンターを原料とするセルロース繊維だ。同社はこのほど、糸を毛羽立たせるフィブリル加工において環境負荷を軽減する技術“ベルティーンエボ(Velutine Evo)”を開発。パートナー企業と機密保持契約(NDA)を締結し、技術提供をして2020年春夏向けの商品から同技術を採用する。

 日本のパートナー企業は小松マテーレと日本化繊で、両社とも高い加工技術で知られる。そのほかイタリア、トルコ、ポルトガルのパートナー企業にも技術提供を行う。「まずは技術力が高い企業と取り組みを行い、その後さらに広げていく」と広報担当者。

 “ベルティーンエボ”は、これまで使用していた薬品をほぼ使わずにフィブリル加工を行うもので、従来と比べて温室効果ガス排出量が16.5%減、エネルギー資源総消費量が21%減、電力量が20.5%減、蒸気量が15.9%減、使用水量が19.5%減となる(第3者機関ICEAが評価)。

 旭化成は「ベンベルグ」においてすでに複数の国際的なサステナ認証や評価を取得している。例えば、リサイクル原料を使用して化学薬品の管理や環境に配慮したトレーサブルな生産技術体制を認証するGRS(Global Recycled Standard)、有害物質による人体への影響や被害をなくすことを目的として、繊維の全加工段階における原料、半製品・最終製品に適用される試験・認証システム「エコテックス規格100」などがそれだ。

 なお、2015~18年の中期計画におけるベンベルグ事業部の売上高は、計画に対して大幅な未達だった。その理由を八神正典パフォーマンスプロダクツ事業本部ベンベルグ事業部事業部長は「工場トラブルが原因で供給力不足だった。19年からの中期計画では生産の安定化を目指し2年をかけて投資する。また、価格の見直しもする。加えて、生産工程における改良・改善点はまだあり、よりサステイナブルな事業になるように強化する」と語った。

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