ファッション

「ヴェルサーチェ」がUA&サンズとスニーカーでコラボ ストリートの重要人物サレヘに聞く

 「ヴェルサーチェ(VERSACE)」は、ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS以下、UA&サンズ)とのコラボレーションスニーカー(11万1000円)を企画し、14日に同店で30足限定で発売した。コラボのベースとなったのは、チェーンをかたどったソールが特徴的なモデル“チェーン・リアクション(CHAIN REACTION)”。発売に合わせて来日した「ヴェルサーチェ」のスニーカー部門ヘッドデザイナーであるサレヘ・ベンバリー(Salehe Bembury)と、小木“POGGY”基史UA&サンズディレクターに聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):コラボに至った経緯は?

サレヘ・ベンバリー(以下、サレヘ):1年ちょっと前に「ヴェルサーチェ」のスニーカー部門ヘッドデザイナーに就いたんだけど、これは従来はなかったポジション。本当にイチから事業をスタートした感じで、シンプルで買いやすい商品と共に目立つ商品を作る必要があった。それで “チェーン・リアクション”を作った。スニーカーを売るにはいい製品を作るだけではダメで、ストーリーを伝えることと、マーケティング、コラボレーションが必要。多様な人材と一緒に働く必要があると考えて、 “ヴェルサーチェ ファミリー パック”というチームを各国の有力小売店と結成した。(限られた有力店でのみ販売する)「アディダス コンソーシアム(ADIDAS CONSORTIUM)」みたいなものだね。日本はUA&サンズ、ニューヨークや上海、ドバイはコンセプト(CONCEPT)、ロサンゼルスとシカゴはRSVPギャラリー(RSVP GALLERY)という店と組んでいる。それぞれの店にポギー(注:小木ディレクター)みたいな素晴らしい人がいて、各店とのコラボ商品は全く違うものになった。UA&サンズとは、(刺し子など)日本の文化をミックスした商品を作ることができて、とてもうれしいよ。

小木“POGGY”基史(以下、小木):サレヘはもともと「イージー(YEEZY)」のデザインに関わっていたし、他にも色んなブランドを手掛けていたから、彼が作るスニーカーに注目する人は多い。彼が「ヴェルサーチェ」に入ってスニーカーを手掛けるという動きがすごく面白いと思っていたので、是非一緒にやりたかった。

WWD:商品の特徴は?

サレヘ:スニーカーをデザインするにあたり、まずはブランドのヘリテージを維持することがとても大事だと思った。見た人がすぐに「『ヴェルサーチェ』のスニーカーだ!」と分かるようにしたかったんだ。僕は学校ではプロダクトデザインや工業デザインを専攻していたから、デザインする時は見た目だけじゃなく機能性を考える。「ヴェルサーチェ」の三大要素といえばメデューサ、グレカキー、チェーンだけど、これを機能的に使うにはどうしたらいいかって考えて、チェーンなら機能性を損なわずにデザインに生かせるなと思った。それでソールがチェーンをかたどった形になっているんだ。

小木:いいスニーカーデザインの基準は、ソールをちゃんとデザインできるかどうか。これは特徴があるソールなのに、アッパーとしっかりはまっている。そこがすごいなと思う。

WWD:スニーカーに代表されるストリートカルチャーが非常に盛り上がっている。それによってどんな変化があるか。

小木:以前はビッグメゾンが「コラボをしている」とは言ってはいけないような雰囲気があった。でも今は、かつては裏に隠れていたものがちゃんと世の中に出て、それがブランドになっていくという流れがある。例えば「ディオール(DIOR)」のメンズは、YOONやマシュー・M・ウィリアムス(Matthew M. Williams)が関わっていることが表に出ている。「ヴェルサーチェ」もこうしてサレヘの名前が出ている。こういう流れは新しいし、面白い。

サレヘ:ストリートカルチャーが盛り上がり過ぎているだなんて、恐れてはいないよ。インターネットの普及で、消費者は今までにないくらい教育されている。以前はブランドについて知ろうと思ったら、店があるところまで行く必要があった。でも今はスマホで簡単に世界中の情報を調べられる。それによって前よりもたくさん買い物をするようになったけど、特別感がなくなっている部分もある。スニーカーも飽和状態といえるかもしれないけど、僕はそこに新風を吹き込みたいんだ。デザインは、人の感情を揺さぶることができるかが大事。自分がいち消費者だったころ、「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」シリーズや新製品を見るたびに、「うわっ、すげえ!」って思った。僕もそんな風に消費者の心を動かすようなものが作りたいんだ。

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