ファッション

パリで見た「それぞれのサステイナブル」を目指したい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.10「それぞれの立場・考えで取り組むサステナ」

読み解きポイント:「資源じゃなく、経済の視点で考えるサステナ」

ニュースのポイント

 2020年春夏のファッションウイークは「サステイナブル」が大きなキーワードとなった。パリも他の都市同様、各ブランドが企業規模やクリエイションに合わせた答えを用意した。社会的責任の大きいメゾンブランドから、資金力はなくともアイデアで勝負する若手まで、それぞれが考える「サステイナブル」で未来を提案する。

AZUはこう読む!

 ここ数年は「多様性」をキーワードに、ファッションウイークの舞台でもさまざまな取り組みがなされてきました。そして今季はこれに加えて「サステイナブル」がより濃く、そして、それこそ多様性をもって提案されていた模様です。

 「ディオール(DIOR)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、服作りではなくショー空間からサステイナブルへアプローチ。若手の「マリーン セル(MARINE SERRE)」はテーブルクロスやカーテンを再利用した生地を生かし、「クレージュ(COURREGES)」はプラスチックを9割削減した素材でアイコニックなビニール素材のアイテムを見事にアップデート。それぞれが「自分ができること」からこの課題に向き合っていました。

 環境を汚さない生産や廃棄を出さない流通、古着やヴィンテージ生地のアップサイクル。動物愛護に沿ったモノづくりや最新の科学技術を用いたエコ素材の開発。できることはたくさんあります。「エコファーは化学繊維を使っているから環境に悪いのでは?」と言い始めたら息をするだけで罪になってしまうので、「できることをまずやる」という意思の表明が大切だと思っています。

 ファッションウイークが街全体を盛り上げる一方で、パリの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)は「モードの変革」というタイトルで、サステイナブルな要素を含んだアイテムを打ち出す企画に全館をあげて取り組んでいました。雑貨から衣類まで、環境に配慮したアイテムを揃えたポップアップも展開し、今の時代を読んだイケてる古着が売られていました。

 合言葉は「GO FOR GOOD」。各階にはコーデ買いしたいくらいおしゃれなマネキンがずらりと並びます。「GO FOR GOOD」の札が付いているアイテムは、オーガニックコットンやリサイクル素材、古着、国産の生地などを使用して作られたもの。日本ではこの考えをあまり見かけないけれど、「メイド・イン・フランス」は元々の「持続可能な」という意味と、雇用の創造の観点からサステイナブルの概念に含まれているのです。

 日本でも多くのアパレル企業がオーガニックコットンやエコファーの使用などサステイナブルに対して動き始めていますが、パリで各ブランドや百貨店が提案したそれぞれの方法のように、柔軟なプランで実行できたら、もっと消費者も気軽にサステイナブルを意識できるのかな、と思いました。

 先日、「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC&ECOLOGY)」が洋服の生産量を今期20%削減し、生産量を適正化していくというニュースがありました。素人目線に戻ってみると「そもそも今まで、なぜ供給が需要を上回り続けていたのだろう」とツッコミを入れたいところですが、売上減というリスクを背負っての挑戦に拍手を送ります!ぱちぱち。

 必ずしも環境に配慮した素材を使わずとも、過剰に生産せず、利益率を上げ安定した雇用を生み出すこともアパレルにできるサステイナブルの一手だと思うのです。当たり前の理論で、とても難しいことだけれど。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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