ファッション

石川発の生地ブランド「カジフ」、“世界最高”をアピール

 高い技術力で知られるテキスタイルメーカーのカジグループ(石川県金沢市)は、2020年春夏向けからテキスタイルブランド「カジフ(KAJI-F)」をスタートし、5月31日にお披露目を兼ねた展示会を開いた。得意とする、軽さ、ストレッチ性、はっ水性、防風性、透湿防水性、通気性などを実現した機能素材に、高い糸加工技術と極細繊維の製織技術を結集した。ファーストシーズンは6カテゴリー40種のテキスタイルを提案する。

 例えば、髪の毛の3分の1程度の極細糸で織り上げた“アルティメットライト(ULTIMATELIGHT)”は、同グループを代表する生地だ。通常は、極細糸は織るのも加工も非常に難しいと言われているが、その高い技術力で実現。ダウンジャケットやウインドブレーカーの素材としても重宝する生地に仕上げた。

 織物で4WAYのストレッチを実現した“ストレッチプレッシャー(STRETCH PLEASURE)”は滑らかなで上品な肌触りが特徴だ。強いハリとコシがある“コンパクション(COMPACTION)は高密度のニット生地で、同社が開発した特殊な加工が施されている。“カッタブル(CUTTABLE)”は特許を出願中だという同社開発の技術を用いた世界初の織物フリーカット生地で、切りっぱなしでもほつれず、独創的なカットラインを可能にするストレッチ生地だ。

「アンリアレイジ」らブランドとの
コラボレーションも

 「カジフ」の展示会場には、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」や「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」「ディスカバード(DISCOVERD)」らとコラボレーションしたウエアも並んだ。

 「アンリアレイジ」は“カッタブル”を使用したドレスを提案した。織物はニットよりも軽く、ハリ感を出すことが出来るためアウター素材としても最適だ。どの方向にカットしてもほつれることがなく、従来できなかったデザインも可能になった。

 「ハルノブムラタ」は“コンパクション”を使用したコートとドレスを提案。ナイロンに特殊加工を施すことで独特の風合いを実現したニット生地で、高密度な編み目にしたことで引っ掛かりが少なく、アウターとしても使えるほどしっかりとした生地だ。

 「ディスカバード」は“ストレッチプレッシャー”を用いたアウターを製作。通常の糸よりも柔らかな「ハイマルチ仮撚り糸」を用いることで、ソフトな風合いとしなやかなストレッチ性のプリンとした反発感を実現する。

“脱プラ”の逆風、
北陸の合繊の価値を高めるために

 自社ブランドを始めた理由を梶政隆社長は「北陸の合繊の価値を高めたい、今、発信せねばという思いがあった。今“脱”プラスチックの流れがあり、合繊メーカーにとっては逆風だ。北陸で生き残っている企業はラグジュアリーブランドやスポーツメーカーにいい生地を提供するメーカーが多いが、黒子のようなもので前に出ることはない。当社は年間1000万mのテキスタイルを生産しているが、例えば生地価格が1mにつき1円上がるだけで、年間1000万円の利益が出る」。大手アパレルメーカーはテキスタイルメーカーに価格を下げる交渉をしがちだが、「一般の方が認めればアパレルメーカーも認めるのではないか。今回のお披露目は、広く知っていただくために一般の方々の開放日も設けた」という。東京・代官山蔦屋書店内のギャラリーで開催し、6月1日に一般開放した。

 同グループは14年に「軽量・コンパクト」という機能性の高さを打ち出したトラベルギアブランド「トゥーアンドフロー(TO&FRO)」を中川政七商店と開発し、中川政七商店をはじめ、アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)などの店に並べて人気を集めている。最近では東京・中目黒のリザーブ ロースタリー 東京とのコラボアイテムも好評だった。そのほか、日本航空や全日空とコラボレーションし、機内ショッピングカタログでメンズ向けパッカブルジャケットを販売している。

 カジナイロンの親会社であるカジグループは、1934年に繊維機械のメーカーとして石川県で創業。機械製造や糸加工、織物・ニットの生産を行うグループ各社とともにテキスタイル開発技術を培ってきた。

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