ファッション

「イッセイ ミヤケ」宮前義之デザイナーのプリーツへの挑戦

 宮前義之「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」デザイナーは2001年にイッセイ ミヤケに入社し、12年春夏に「イッセイ ミヤケ」ウィメンズのデザイナーに就任した。14年春夏に、イッセイ ミヤケが開発した蒸気で布を縮めて服を作る革新的なスチーム製法を応用した“スチームストレッチ”を発展させた“3Dスチームストレッチ”を発表し、プリーツの固定概念を覆した。

 そして今シーズン、「まるでパンを焼くように生地を焼いて膨らませる」ことから名付けられた新しいプリーツ“ベイクドストレッチ”を披露した。誰も思いつかないような画期的な製法で生み出し、見る者を驚かせた。そのコレクション発表直後のバックステージで宮前は、シーズンのコレクション発表直後のバックステージで「『イッセイ ミヤケ』のデザイナーになり、『守るべきものは何か』と考えた結果、アイデンティティーであるプリーツの進化だと思った」と語っていたのは印象的だった。革新的なプリーツはどのようにして生まれるのか?東京・代々木公園にあるデザインオフィスを訪ねた。

“通常の製法プロセスとは違うプリーツへのアプローチを考えたら可能性が見えた”

 「デザイナーとして『イッセイ ミヤケ』を継続していくこととは何かを考えました。ブランドを守りながら、何を変化させていくか。何かを変えれば当然リスクが生まれるけれど、変えていかなくてはいけない。突然、レストランのメニューが変わったら驚きますよね。その感覚に近いと思う。従来のものと新しく提案するもの、そのバランスを掴むのに数シーズンかかかりました」。

 「イッセイ ミヤケ」は多くの顧客を持つブランドだ。「当初は変えたいという気持ちもあった。その答えのひとつはプリーツをやめること。何かをやめてイメージを変えるのは簡単です。プリーツではない新しいものを提案すれば、変わったと思われる。実はデザイナーに就任して最初のコレクションでそれをやりました。でも何か違和感があった。本当にプリーツをやめていいのか自問した。とはいえ、プリーツに変わる絶対的な何かもなかった。そこからプリーツに真剣に向き合いはじめました」。

 1980年代からプリーツを研究してきた同社では、大半のことは過去に誰かが取り組んでいるから、なかなか新しいものを生み出すことができない。「苦しんでいたある日、視点を変えることができた」。「A-POC」の考え方がヒントになった。従来の服作りとは根本的に異なるプロセスで作るという考え方だ。「プリーツを新しい製法でできないかを考えたら可能性が見えてきた。ほとんどのプリーツは同じ専用の機械で作られている。その中で『イッセイ ミヤケ』が他社と違うのは、製品の状態で機械に入れているから。でもこのプロセスとは違うアプローチができないかを考えた。そして挑戦したのは、ジャカード織りでプリーツを作ること」。

 こうして“3Dスチームストレッチ”のアイデアが生まれた。ただし、タテとヨコにストレッチ糸を入れて熱をかけて縮ませると、生地全部が縮んでしまう。それをフラットにできないかと研究を続け、完成したのが14年春夏の素材だ。その後、「従来のプリーツは直線しかできなかったから」と曲線に挑んだ。立体的なプリーツや色をのせることにも成功し、ここ4シーズンは「何を残し、何を革新していくか」が吹っ切れたようなクリエイションが印象的だった。

“3Dスチームストレッチ”とは?

 “スチームストレッチ”を進化させ2014年春夏を発表した直線の“3Dスチームストレッチ”は、その後、曲線、面(立体)へと進化を遂げ、さらに色をのせることが可能になった。この技術は、イッセイ ミヤケが1980年代から素材開発に取り組んできたプリーツと、一枚の布で一着分の服を成型する技術に取り組んできた「A-POC」の製法プロセスに共通する革新性を備えている。タテ糸ヨコ糸の両方にストレッチ糸を用いることで360度全方向に伸縮性がある織りによるプリーツを可能にした。

[rel][item title="【ルック】“3Dスチームストレッチ”を取れ入れた「イッセイ ミヤケ」2014年春夏パリ・コレクション" href="https://www.wwdjapan.com/collection/look/issey-miyake/paris-s2014-rtw/" img="http://www.wwdjapan.com/collection/wp-content/uploads/sites/3/2015/12/issey-miyake.png"][/rel]

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