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次世代を担うロンドンの有望株 第2弾「パルマー // ハーディング」 英首相もお気に入りの“シャツ・ボーイズ”

 次世代を担うロンドンの若手デザイナーへの直撃インタビュー企画。第2弾は、「パルマー // ハーディング(PALMER//HARDING)」。デザイナーのレヴィ・パルマー(Levi Palmer)とマシュー・ハーディング (Matthew Harding)は“シャツ・ボーイズ”との異名を持ち、複雑なパターンやドレープによってシャツに無限の可能性を与える。2012年にブランドを立ち上げ、テリーザ・メイ(Theresa May)首相が公式の場で着用したことでその名が一気に広まった。コンセプチュアルやアバンギャルドなブランドが多いロンドンで、ビジネスに重きを置いている数少ないブランドの一つだ。洋服はカジュアルとエレガントが共存し、オフィスやパーティー、日常着にとさまざまなシチュエーションで着られる万能な洋服といった印象。ライフスタイルが多様化する現代、顧客ターゲットの幅の広さは成功の鍵となり得るだろうか。

──コレクションをスタートするにあたり、なぜ“シャツ”に焦点を当てた?

マシュー・ハーディング「パルマー // ハーディング」デザイナー(以下、マシュー):ブランドを立ち上げた当時は、シャツに限定したブランドはなかったから、ファッションの世界で新しい立ち位置を確立できると思った。シャツは普遍的な定番アイテムだからこそ、展開次第でその概念を再解釈したクリエイティブな見せ方ができると思うんだ。現在では、僕らのビジネスモデルをコピーしたようなブランドがたくさん出てきたけれど、やっぱりオリジナルが一番だよね。僕らはこれからも独自性を貫いていくよ。

──コレクションを制作する際の二人の役割分担は?

マシュー:近代アートと音楽が、僕らにとって一番の着想源。まずはコレクションの感情やムード、空気感が生まれてきて、それを軸に洋服について考え始める。デザインよりもパターンカッティングに長けているレヴィが、想像力と計算力を生かしてマネキンに布を巻いてドレープを作る。それを僕がデザイン画に描いてバランスを見ながらディテールを加えていくといった流れ。

──レヴィはアメリカ出身、マシューはイギリス出身で現在はロンドンベースの二人だが、互いに文化や価値観の違いを感じることはある?

レヴィ・パルマー「パルマー // ハーディング」デザイナー(以下、レヴィ):アメリカで生まれ育った背景は、コレクションを商業的な視点を持って構成する能力に発揮されていると思う。それはロンドンベースの多くのブランドができていないことじゃないかな。マシューもビジネス感覚を持ち合わせているから、スタート時点から同じ方向性で始められたことは、固い基盤を作ることにつながっていると思う。

マシュー:バックグラウンドの違いが悪いように働いたことはない。グローバルマーケットへの広い視野を養ってくれるという長所だけだよ。

──今後はシャツ以外のバリエーションを増やしていくのか?

マシュー:シャツが要であることは変わらないけれど、その予定だよ。すでに過去数シーズンは、シャツをより良く見せてくれるようなニットウエア、アウター、ボトムスを作ってきた。素材に関してもいろいろ試してきたけれど、コットンが最も日常のカジュアルウェアとしては適しているという結論に至っているから、今のところ素材の冒険はしない。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける