ファッション

盛り上がる“体感型”ラグジュアリー・イベント

ラグジュアリー・ブランドの間で“体感型”イベントが増えているワケ

 ラグジュアリー・ブランドの条件のひとつに、長い歴史とそれをひもとくことができるアーカイブを多く持つことがある。最近は、その歴史やアーカイブを目で見るだけではなく“体感”する展覧会やイベントが増えている。来場者がスマートフォンを片手に自分の意思で会場内を歩き回り、展示物に触れて音を聞き、時には匂いを嗅ぐなど五感を使って体感する。多くは入場無料のためブランドにとって直接的な利益にはつながらないが、世界観を体感してもらうことで将来顧客になりうるファンを開拓するのが狙いである。

 「ディオール(DIOR)」が昨年12月に銀座で開催した「エスプリ ディオール」はその成功例で、3カ月で20万人近くを集客した。スマートフォンでの撮影もOKという方針が奏功し、期間中、インスタグラムやフェイスブックといったSNS上には数多くの「エスプリ ディオール」のビジュアルが溢れた。この結果を振り返り、シドニー・トレダノ=クリスチャン ディオール クチュールCEOは、「新しい世代がブランドの精神に触れ、理解を深めてくれた」と語っている。

[rel][item title="「ディオール」がアーカイブを一同に会した展覧会「エスプリ ディオール」を開催" href="https://www.wwdjapan.com/fashion/2014/10/28/00014240.html" img="https://www.wwdjapan.com/fashion/files/2014/10/28/141028-ESPRITDIOR-001.jpg" square=true][/rel]

 「エルメス(HERES)」もSNSと絡めた体験型イベントに力を入れている。クリスマスの時期には、銀座店の前にスケトリンクやスノードームといった小さなアトラクションを用意し、街ゆく人に「エルメス」の世界観を体験できるようにしている。もちろん、記念撮影のサービス付きだからSNSでのシェアは進む。昨年上野で開催した“レザーと「エルメス」の絆”展も同様で、来場者は上質な革に素手で触れ、疑似乗馬体験で遊び、「エルメス」のDNAである馬とレザーを体感した。

[rel][item title="「エルメス」レザーの全てを見せる展覧会が上野で開幕。観覧は無料" href="https://www.wwdjapan.com/fashion/2014/12/01/00014615.html" img="https://www.wwdjapan.com/fashion/assets_c/2014/12/1_entra-thumb-708xauto-107633.jpg" square=true][/rel]

SNSと相性の良い体験型イベント

 いずれも、印象的だったのは、若い世代の来場が多かったことだ。もちろん、体験型だからと言って、どんなイベントでも人が集まるわけではない。顧客がイベント会場まで自ら足を運び、スマートフォンで写真を撮り、SNSに喜んでアップするのは、その世界観の一部であることを誇らしく思う“特別感”や“憧れ”があるからだ。その熱気を目の当たりにして、ラグジュアリー離れとか、デザイナーズブランド離れといわれる世代も、潜在的には関心があり、アプローチの仕方次第では、まだまだブランドファンになる可能性があることを実感した。前出は一般向けのイベントだが、業界向けイベントにも体験型が増えている。顧客や業界関係者を対象に壮大なスケールで開催したのが、今季の「ヴァレンティノ オートクチュール(VALENTINO HAUTE COUTURE)」だ。なにせ、体験の舞台はローマの街全域。体験内容はローマ3000年の歴史である。

 通常はパリでオートクチュール期間中にショーを開く同ブランドだが、今シーズンは旗艦店のオープンを祝して本拠地ローマでショーを開催した。ジャーナリストやモデルなど業界関係者の多くは、オートクチュールの公式日程の最終日にあたる7月9日早朝にパリのシャルル・ド・ゴール空港から「ヴァレンティノ」のチャーター便に乗ってローマへと向かった。招待客は顧客も含み、世界中から600人を集めたという。

[rel][item title="【ルック】「ヴァレンティノ オート クチュール」2015-16年秋冬オートクチュール・コレクション" href=https://www.wwdjapan.com/collection/look/valentino-haute-couture/2015-16-fw-haute-couture/" img="http://www.wwdjapan.com/collection/wp-content/uploads/sites/3/2015/07/valentino1.png"][/rel]

次ページ:ローマの街の歴史さえもメゾンの価値へと置き換える鮮やかな手腕 ▶

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