
「サカイ」の次に世界で活躍しそうな東京ブランドは何か。取材をしているとたびたび聞かれる質問だ。ここでは、ブランドスタート10年以下で、弊紙注目の4人にフォーカス。着々とブランドを成長させてきた“「サカイ」神話”に沿って、デザイナー自身が社長であり、展示会からコレクションをスタートしているブランドであることを選定基準に、デザイナーらが今後のクリエイションとビジネスについて考えているコトモノを聞いた。第2段は「ファセッタズム(FACETASM)」のデザイナー、落合宏理だ。
カテゴライズできない“スーパーレイヤード”を強みに第2の変革期へ
プリーツやフレアを幾重にも重ねて作り出すコーディネートのバランスが「ファセッタズム」の魅力だ。これまでストリート感や疾走感のあるコレクションを発表し、東京の有力ブランドとして評価を高めてきたが、今シーズンは一転 。「ラブ」をテーマに、2本のランウエイを男女が歩く、ハッピーなコレクションを発表した。クラシカルな要素も盛り込んだコレクションは、代名詞にもなっている“スーパーレイヤード”だけではない、次のステップにブランドが進んだことを感じさせた。
今シーズンは、東京での発表前に、現役バイヤーが審査員を務める「トウキョウ ファッション アワード」の受賞デザイナーとして、1月のパリ・メンズ期間中に初の海外合同展示会に参加した。落合デザイナーは、「想像以上にブランドを知っている人が多く、ドーバーストリートマーケットなど、新たに7店舗の卸先が決定した。海外で発表したり、東京でのショーも8回目で自分の中で区切りの年になったことが、ハッピーな表現につながった」と手応えを話す。東京ファッション・ウィーク期間中にもアジア圏のバイヤーが展示会に訪れ、ブラン ドカラーが強く出たアイテムを買い付けてくれることが多かったが、「バイヤーの予算があるパリ展示会で洋服を見せると、また違った選び方をしてくれる。リアルなアイテムのオーダーも増えた。東京は発表時期が遅いから、バイヤーの予算が残っていないというのはうそではなく、メーンで戦うと、メーンなりのジャッジの方法があることを実感した」と振り返る。
”東京はバイヤーの予算が残っていない それがうそじゃないことを実感した”
メンズ期間中の展示会のため、アイテムもメンズの引きが強いが「ウィメンズも合わせて扱いたいという要望が多く、可能性を感じた」。すでに6月には、2回目のパリ合同展を控えている。今後の課題は、「オーバーサイズで着るモノが多いが、海外では普通サイズになってしまう。サイズ感をヨーロッパ向けに工夫したい」。プレやベーシックラインをスタートするブランドも多いが、「今の僕には似合わない。直球で勝負するカッコよさもあると思う。そういう時期に差し掛かっているのはわかっているが、作るべきと感じたときに少しずつ始めたい。作るなら“モードが好き。モードをやっています”という意思表示をしたい」。支援終了後は「メンズ&ウィメンズどちらの時期が良いのかも検討して、海外での展示会を継続したい」。現在、ヨーロッパとアメリカのセールスは、ノーシーズンと契約しているが、「売りっぱなしにならないよう現地プレスも探したい。インディーズでやっている僕らには、王道の流通にのせることが正しいかも含めて考えていく」。
