
ファッション企業やビューティ企業がプライベートファンドとの取引をする際のメリットとデメリットは何か。どんなところに注意しなければならないのか。投資会社とファッション企業の双方で要職を務めた岡島良一氏(仮名)に、PEファンドの見極め方を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月31日号からの抜粋です)
見極めが大事!
ファッション&ビューティ企業側から見た
PEと組むメリット・デメリット
メリット
1. 株主の事業承継・マネタイズ
2. 企業変革・事業成長が進む
3. 経営人材の獲得
デメリット
1. 経営権の喪失
2. 多額の負債活用
3. 最優先は一定期間の投資リターンの最大化
WWD:PEファンドと組む場合、まず認識しなければいけないことは何か。
岡島良一氏(以下、岡島):PEファンドが関わる案件は、原則として株式の過半数・支配権を取得する。マイノリティ投資は一部の例外でしかない。PEは自社では達成できない事業や、ブランドの成長につながる良薬になる。ただ、用い方を一つ間違えれば危険な劇薬にもなる。過度に恐れる必要はないものの、PEの役割と機能を十分に理解すべきだ。
WWD:どんなメリットが期待できるか。
岡島:PEが最も貢献できるのは人材獲得と組織力の向上だ。PEファンドは経営層から事業部長クラスまで広範な人材獲得のネットワークを保有している。一流の人材が定着・活躍できる環境を組織面からも報酬面からも整備することも得意だ。特に報酬面の改善は外部から新たに参画する人材だけでなく、既存の組織で頑張る人材にも恩恵がある。
WWD:事業面では?
岡島:多くの企業にとって未知の領域である海外事業では、グローバルPEファンドの支援が大きく期待できる。アパレルやビューティの業界では大手であっても、必ずしも海外に十分な人的ネットワークがあるわけではない。PEファンドは欧米では認知度が高いため、投資されていることが信用になり、現地の一流の人材の獲得の助けになる。それらの人材の投入を通じて、なかなかできなかった新しい取り組みが可能になる。出店戦略、在庫コントロール、原価と価格の最適化、物流整備、IT・AIなどのテクノロジー活用、海外市場の開拓、人事・評価制度の最適化など―企業を一段上のステージに上げる。
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