ファッション

生き物好きのアーティスト森勉が今度はスカルに引かれた 「モロー・パリ」とのコラボを聞く

PROFILE: (左)森勉/アーティスト (右)ファビアン・フルーリー/メゾンモロージャパン セールスプロモーションマネージャー兼VMDマネージャー

(左)森勉/アーティスト<br />
(右)ファビアン・フルーリー/メゾンモロージャパン セールスプロモーションマネージャー兼VMDマネージャー
PROFILE: (左)東京生まれ。日本人の父、アメリカ人の母をもつ。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインに入学し、グラフィックデザインを専攻。卒業後は帰国し、ビーズインターナショナルでグラフィックデザイナーとして活躍する。2010年、伊藤忠商事とデザイナーの豊田洋人とともに「ホワイト・レーベン」を立ち上げた。ファッション業界で活躍するかたわら、アート活動も精力的に継続。2015 年から 2016 年には、セゾン現代美術館が運営するアートギャラリーのメイン契約作家にも抜擢された。現在は、アーティストの活動に専念している PHOTO:KAZUO YOSHIDA

仏バッグブランド「モロー・パリ(MOREAU PARIS)」が、アーティストの森勉とのコラボコレクションを発売した。新しく購入した、もしくは手持ちの「モロー・パリ」のバッグに、森が自らマーカージュ(ペインティング加工)する。価格は7万7000〜12万1000円。

メゾンモロージャパンのファビアン・フルーリー=セールスプロモーションマネージャーと森は犬の散歩仲間であり、バイク仲間であり、飲み仲間でもある。腹を割って話し合ったコラボは、友人同士である彼らだからこそ生まれた。

森の祖母は、ファッションデザイナーの森英恵である。前回のインタビューでは、「祖母の『本当に美しいものには、ある種の気持ち悪さが宿る』という言葉に共感している。僕が爬虫類に魅せられるのも、これが理由なのかもしれない」と話していた。森が得意とし、「モロー・パリ」とのコラボで用いる立体点描という技法も、爬虫類のうろこを点で描いていたことが始まりだった。

「モロー・パリ」が創業したのは1882年。創業者であるルイ・モロー(Louis Moreau)は、フランス皇帝ナポレオンのお抱え家具職人だった。トランクからバッグ、レザー小物へと広がっていくが、どのアイテムにも時の権力者が見初めたクラフツマンシップが宿っている。森も「『モロー・パリ』のレザーはとてもスムースで、“バッグへのペイント”と意識することなく描ける」と話す。

第3弾を方向付けた
とある絵

24年秋に発表した第1弾では、ハチをモチーフにした。ハチは、ナポレオンも繁栄と豊穣の象徴として紋章にあしらっていたという。ブランドとナポレオンとのつながり、そしてモチーフに込められたポジティブな意味合いも、コラボレーションの始まりに相応しかった。コレクションは評判を集め、森の展覧会に足を運ぶ顧客もいた。続く第2弾は、スミレと蝶のモチーフを選んだ。

今回のコラボも、ナポレオンとのつながりがある。森の作品の中に、“一番有名なナポレオンの絵”こと 「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト」(ジャック=ルイ・ダヴィッド、1801年)をオマージュした作品がある。ただし、馬に乗っているのはナポレオンではなく大きな鎌を持った死神だ。森を知る人ほど、この作品に驚くかもしれない。これまで生き物を中心に描いてきたからだ。

世界的に残る活躍をした一方、多くの人命を奪ったナポレオンへの皮肉か。そんなことが頭をよぎったが、森は次のように説明した。「この作品で伝えたいのは、生があれば死もあること。実在するか否かを問わず、さまざまな生き物を描いてきたが、そんな当たり前のことを描きたかった。ナポレオンであるかないかは本旨ではないかもしれない」。この作品はポップアップ会場でも展示しており、コラボレーションの始まりを伝えている。

この作品をインスピレーション源とし、今回のモチーフの1つ“スカルフラワー”が生まれた。無骨なスカルを花のように見立てたデザインは、森が大切にする“人生”を1つの作品で伝える。2つ目は、フルール・ド・リス。何世紀にもわたりヨーロッパの紋章や旗に使用されてきた、由緒あるモチーフだ。フランス王家とのつながりも深い。

ハチやスミレ、蝶のモチーフは女性向けだったが、“スカルフラワー”やフルール・ド・リスなら男性も手を伸ばしやすい。そんなデザインに合わせて、伊勢丹新宿店メンズ館でポップアップを開催している。会期は6月9日まで。森の作品も展示しながら、コラボレーションの世界観を届ける。

■「モロー・パリ」ポップアップストア
日程:6月9日まで
場所:伊勢丹新宿店メンズ館 1階 プロモーションスペース
住所:東京都新宿区新宿3-14-1

■森勉によるマーカージュ実演
日程:6月6日、7日
時間:14:00〜18:00
場所:伊勢丹新宿店メンズ館 1階 プロモーションスペース(同上)
住所:東京都新宿区新宿3-14-1(同上)
お渡し:約2カ月後

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