ファッション

大学ファッションサークルの活動事情 慶應義塾大学発「Keio Fashion Creator」代表に聞く

2002年に設立した慶應義塾大学発のファッションサークル「Keio Fashion Creator」の現在の在籍人数は約90人で、新入生が入部すると約200人ほどになる見込みだ。他の学生服飾団体と比較しても随一の規模と言える。団体はプレス、ディレクター、モデルマネージャー、デザイナーの4部署で構成。09年からはエスモード・東京校と提携し、服造りを本格的に学べるファッション団体としても人気を誇る。昨年12月にはテレコムセンターアトリウムでファッションショーを開催し、約590人を動員した。

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今年度の代表を務める滝田紗也加(たきた・さやか)さんは、活動に専念するために1年休学の道を選んだ。「サークルのために休学?」と思う人も多いだろうが、毎月11回の会議に加え、全体マネジメント、協賛企業とのやりとり、モデルマネジメントなど、多くの業務に真剣に取り組む。今回はそんな滝田さんに、大学ファッションサークルの活動事情を聞いた。

WWD:普段の活動内容は?

滝田紗也加「Keio Fashion Creator」代表(以下、滝田):全体会議、プレス会議、ディレクター会議が月に3回ずつ、モデルマネージャー会議が月に2回。私は全てに参加しているため、1カ月で11回の会議があります。

イベントごととしては、毎年4月には新入生向けの交流会を団体主催で行っているほか、「Aoyama Fashion Association」が主催の合同説明会にも参加しています。5月には、新入生が団体の雰囲気を知る場としてDJイベントがあり、その後は12月のファッションショーに向けて準備が続きます。それまでの間にルックブックの撮影があったり、細かなイベントがあったりして、常に動き続けています。

WWD:入部にあたり、審査などはあるのか?

滝田:基本的にありませんが、デザイナーチームのみ、希望者が多い場合は審査を行っています。新入生には入部のタイミングでエスモード・東京校による体験授業を受けてもらい、そのときの態度や技術を評価に反映します。私たちの団体は服飾専門学校に通わなくてもデザインを学べる場です。それまで家庭科の授業でしか縫製を習ったことがない学生でもチャレンジができて、成長していける場所として開けた環境でありたい反面、個人ではなくあくまで団体として動いているため、そのためのチーム意識を持てるかどうかは大事にしています。

WWD:エスモード・東京校での授業はどのくらいの頻度で行われる?

滝田:毎週土曜日の午後2〜6時の4時間を基本的な活動時間としています。パターンの引き方など基礎の基礎から学ぶことができ、前期は課題としてスカートやワンピースの制作に取り組み、既存部員はルックブックに向けた制作を進めます。後期はショーに向けた制作に取り組みます。モデルフィッティングまで先生達に見てもらいながら、当日までアドバイスをもらいアップデートしていきます。

WWD:ファッションショーの演出はどのように行っているのか?

滝田:演出は基本的にディレクターチームが担当。会場や演出、ヘアメイクの方向性などは部員同士で案を出し合って決めています。新入生が入ってきたら各チームに振り分け、ショーのコンセプトなどを決めたり、会場のロケハンを行います。先輩から受け継いだ資料を参照し、初心者の学生にも少しずつ慣れてもらえています。モデルマネージャーチームは通年モデルハント。フリーのモデルだけではなく事務所所属のニューフェイスたちもチェックして、交渉し続けます。

WWD:昨年はヘアメイクを資生堂美容技術専門学校チームに依頼していた。モデルや会場などを含め、予算はどのように工面している?

滝田:学生からの年会費、大きい部分では協賛企業からの支援金があります。先輩方が築いてきた関係値から協賛してくださる企業の方々に大変助けられています。

WWD:サークル活動にかなり本気で向き合っている印象だが、学業との両立は可能なのか?

滝田:会議は夕方以降2時間で行うため、授業との両立は可能です。実際に所属している学生のほとんどが個人の活動を大事にしている印象で、バランスよくこなしているように感じます。テスト前などは会議をお休みする学生もちらほらいますが、それぞれ議事録で共有したり、連絡を取り合うようにしています。

WWD:滝田さん自身は今年、大学を1年休学して代表としての活動に専念している。その経緯とは?

滝田:2年目の途中くらいから、「来年は幹部をやりたい」とは思っていたものの、正直自分は代表に向いていないと思っていました。「もっと適任の人がいるんじゃないか」と自信がなかったんですが、そんな時に前代表の今村が「迷うと思うし、代表をやっても辞めたいと思うときが絶対ある。でもやりきったら絶対にやってよかったと思えるはず」と背中を押してくれて。そんなふうに言ってくれるならやるしかないなと思いました。

そもそも私がこの団体に入ろうって思ったのは、規模の大きさはもちろん、一番かっこいい学生服飾団体だと思ったから。私自身も誇りを持っている団体で、大好きな先輩たちが守ってきたものをこの先も紡いでいきたいと思うようになり、代表になろうと心に決めました。これまでエスモード・東京校との提携や、協賛企業との関係値を構築してきてくれた先輩たち。そんな先輩が受け継いできた歴史やその重さを、しっかり受け止めて本気で向き合いたいと思い、1年間の休学を決意しました。

WWD:滝田さんが思う、「Keio Fashion Creator」の魅力とは?

滝田:エスモード・東京校で服づくりが学べることはもちろんですが、社会で働く人たちとの接点ができること。これまでに先輩たちが築いてくれた関係や、教えてくれた社会人としてのマナーは、この団体に入っていなかったらきっと学べなかったと思います。

また団体色としては、一見尖っている雰囲気の学生が多いけど、みんなトラディショナルな部分を大事にしているように感じます。落ち着いた学生が多いですし、先輩から受け継いできた伝統を意識しているのが好きです。

WWD:滝田さんが代表を務めるこの1年、団体として何を目指す?

滝田:大きな団体になっていくにつれ、所属人数やショーの会場など「前年を超えなければ」という焦りが出て、本来私たちが大事にしている団体らしさ、プライドが薄れてきているように感じています。今年は「規模より質」を大事にクリエーションを追求していきたいです。

その質を高めていくために、最近は全体会議でファッションショーを観る時間を作っています。みんなで同じショーを見て、「どんなところがすごいのか」「どうしたらこんなショーを作れるのか」などディスカッションをする時間を大事にしています。

今年の団体指針は「ハッケン」。私は多様性を持ちながらも、核の部分としての伝統を意識し続けていきたいと思っています。私たちの団体は長い歴史の中で少しずつ、「Keio Fashion Creator」としての輪郭がぼやけてきているんじゃないかと感じていました。大好きで誇りに思う団体だからこそ、自分たちの代だけがかっこいいのではなく、10年後も20年後もかっこいい団体であり続けてほしい。そんな今のタイミングだからこそ改めて団体を見つめ直して、私たちらしさを再発見し、成長し続けていける団体を目指していこうと思います。

■Keio Fashion Cretor
Instagram:https://www.instagram.com/keio_fashioncreator/
X:https://x.com/keio_fc
note:https://note.com/k_fashioncreator
HP:https://www.keiofashioncr

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