
TSIホールディングスは、10月27日から30日に本社で初の「サステナビリティ・ウィーク」を開催した。TSIグループ全体にサステナブルな素材選択を浸透させるとともに、業界全体で共通認識を持つきっかけをつくるための社内外ハイブリッド型の試みで、初日はドキュメンタリー映画「ファッション・リイマジン」を上映し、2・3日目には“低環境負荷素材”をテーマとした展示を開催。最終日にはWWDJAPAN Educationsが主催するセミナー「リセール革命―ファッションの新収益モデルを探る」の会場となり、循環型経済の実践的アプローチを多角的に議論した。
社内基準を明確化し、低炭素素材の採用を促進
中でもユニークだったのが、2日目と3日目に開かれた素材展示会だ。MNインターファッション、スタイレム瀧定大阪、豊島、スパイバーなど重点的に連携する商社・素材メーカーがTSIの基準をクリアした環境配慮型の生地を展示。TSI社員だけでなく、同業他社も来場できる形式とし、素材調達からデザイン、販売などに関わる来場者が、基準に基づいた素材を体感できる開かれた展示会とした。
TSIホールディングスは2023年から、調達部門を中心に低炭素・環境配慮素材の社内基準を導入している。基準をクリアした対象素材の混率30%以上を一つの目安とし、GRSなどの正式認証がない素材を「リサイクル」と表示しないなど、エビデンスを重視した運用を行っている。現在の採用率は約2.5%であり、拡大を見据え、約50ある同社のブランド担当者が選びやすいよう、対象素材を可視化した本展を企画した。たとえばオーガニックコットンひとつとっても、各社の打ち出しに特徴があり、来場者は説明を聞きながらブランドメッセージに合うものを選択することができる。競合ブランド・企業間で情報を共有することでスケールメリットを生み、価格の引き下げにつなげることも一つの狙いだ。
本宮青芸SDGs推進部長は社内外を横断したイベント趣旨について「弊社のGHG排出量の約90%が原料由来であり、マテリアルイノベーションはサステナビリティ戦略の重点課題。ただし、1ブランド、1社の規模ではインパクトが小さく、お取引先や競合を含めた同業他社の横のつながりを持った多角的なアプローチ・アクションがあってこそ実現できる」と話している。