
「サユリ タネイ(SAYURI TANEI)」は、10月14日まで日本橋高島屋2階サロン ル シックで、国内外のツイード生地を用いたセミオーダー会と新作プレタポルテのポップアップストアを開催している。会場には、岩手・花巻の日本ホームスパン、尾州のミロス、英国のリントンなど、世界の高級ブランドが採用するツイード生地が並び、来店者は実際に生地を手に取りながら選ぶことができる。デザイナーの種井小百合は「日本の生地が持つ力」を強調する。
日本のツイードが示す競争力
「サユリ タネイ」の根底にあるのは、「素材を楽しみ、自分に合う一着を仕立てる」という考え方だ。「女性がもっと自由にファッションを楽しめるようにしたい。そのために、素材から選べる仕組みを整えました」と種井は説明する。生地を選び、直接手に触れてから仕立てるというプロセスは、「着る方が品質を理解し、長く着ることにつながり、サステナブルにもつながると思う」とも話す。
展開アイテムは、ジャケットやシャツ、ワンピースなど、ビジネスやフォーマルの場で映える服だ。いずれも立体裁断を軸に、体のラインに自然に沿うよう設計されている。「着る人が自然に姿勢を整えられるよう、ラインの精度を重視しています」と種井。肩から腰にかけてのバランス、襟や袖の角度、裾の動きなど、細部にわたり修正を重ねて完成させた。見た目の美しさだけでなく、長時間の着用でも快適であることを重視している。
また、プレタでも播州織物のワンピ―スや、「糸編商店」が日本各地から集めたデッドストック生地を活用するなど日本の産地の生地を多く活用している。縫製はすべて日本国内の工場で行われ、熟練職人がパターンの精度を再現する。価格はジャケットが20万円前後、ワンピースが20〜30万円台。セミオーダーは受注生産で、注文から約2カ月後に納品される。
海外経験から見た日本のものづくり
種井は、パリでジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)や高田賢三のもとで経験を積み、デザインの自由さと同時に、品質への厳格な姿勢を身につけたという。海外経験が長い彼女は、帰国後あらためて日本の繊維産地のレベルの高さを実感している。「日本の繊維産地には世界最高水準の素材が揃っています。日本の素材だけでも、ラグジュアリーブランドは成り立つ」と言い切る。
ポップアップは、10月29日(水)〜11月4日(火)に横浜高島屋、11月19日(水)〜25日(火)に京都高島屋で開催予定だ。