アダストリアの2025年2月期連結業績は、売上高が前期比6.4%増の2931億円と過去最高を達成したものの、営業利益は同13.9%減の155億円、純利益は同28.9%減の96億円と大幅な減益となった。主力ブランドの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」をはじめ、10月の高気温で秋物販売につまずき、冬物仕入れを絞ったことで冬物商戦も失速。値引き販売が増え、利益を圧迫した。
「計画未達に終わった理由は明確で、グループ全体で巻き返しを進めている」と、福田三千男会長。「月別の予算配分を見直し、シーズンを通して在庫・発注を細かく見ていく体制に修正しており、今期中に必ず復調させる」と北村嘉輝専務。
気候変動に左右されないMD戦略として、IPコラボ商品や人気販売スタッフとの協業企画商品、雑貨など、「目的買いを誘える」商品の強化も進める。実際、「レプシィム(LEPSIM)」では「ミスタードーナツ」とのコラボ商品や販売スタッフプロデュース商品などがヒットしたことを背景に、「店舗数はほぼ同じながら、国内ブランド売り上げが前期比12.5%増と伸長した」(福田泰生専務)。
主力ブランドであり、今後の戦略エリアである東南アジアを攻める上でも重要になる「グローバルワーク」の国内売り上げは、同1.9%増の526億円だった。20%超増が続いたここ2年と比べると大幅な減速。「ブランドが成長する中で客層がマスに広がり、季節先行型から実需型の購買傾向に変わっている」(北村専務)ことも苦戦要因となった。3月には初の超都心立地である銀座に旗艦店をオープンし、ここから訪日客の取り込みにドライブをかける。「将来的な目標である売上高1000億円に向けて、従来通りアイテム1つ1つを磨いてその価値をアピールするだけでなく、コラボなどにも取り組んでいく」。
26年2月期は、売上高4.1 %増の3050億円、営業利益が同22.5%増の190億円、純利益が同29.0%増の124億円を見込む。なお、25年2月期決算発表と合わせて、9月にアンドエスティホールディングスを持ち株会社とするホールディングス体制に移行すると発表した。30年2月期を最終年度とする新中期経営計画については別記事で報道する。