ブラジルの化粧品会社ナチュラ&コー(NATURA & CO.以下、ナチュラ)は、投資会社IG4キャピタル(IG4 CAPITAL)と中南米以外での「エイボン」の売却を交渉している。2024年12月4日には、中南米以外での「エイボン」の売却や提携、スピンオフを含むオルタナティブ投資戦略の検討を再開したと発表していた。
IG4キャピタルは、新興市場に特化したオルタナティブ投資ファンド。この交渉は独占的に進められているがまだ初期段階にあり、ナチュラはさまざまな選択肢を評価している最中だ。「エイボン」のオルタナティブ投資戦略を模索するナチュラの取り組みは、米国を拠点とする非営業持株会社エイボン・プロダクツ(AVON PRODUCTS INC.)が米デラウェア州の裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した24年8月以来保留されていた。「エイボン」の米国市場は、同社の製品に含まれていたタルクががんを引き起こしたとされる訴訟が相次ぎ、滞っていた。
ナチュラによると、破産手続きを監督する米国の裁判所は、ナチュラとエイボン・プロダクツの債権者の和解合意と、「エイボン」の売却に関するクレジット・ビッド(担保権者が入札に参加し、自らの債権額を購入価格に充当する形で入札すること)1億2500万ドル(約185億円)を承認したという。ナチュラは2月、株主価値をさらに高めるため、「エイボン」を上場ビューティ企業として独立させることを検討していると発表。企業構造の簡素化を目指した、「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」と「イソップ(AESOP)」の売却に続くものだった。
同社は23年、独投資会社アウレリウス・グループ(AURELIUS GROUP)に「ザボディショップ」を2億700万ポンド(約397億円)で売却。24年にはロレアル(L’OREAL)に「イソップ」を売却し、ブランドの取引額は25億ドル(約3700億円)以上と評価された。
現在「エイボン」の米国事業は、韓国のLG生活健康(LG H&H)が手掛けている。現在の米国事業は、「エイボン」のほかの事業体とは一切関係がなく、連邦破産法11条の手続きにも加わっていない。
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