化粧品の商品企画・開発からブランド戦略まで手掛けるエスヴィータが24年7月に立ち上げたiPS細胞上清液を用いた完全オーダーメイドスキンケアブランド「イプシア(IPSYA)」が堅調だ。自分自身の細胞を素材にしてゼロから作るスキンケアで、細胞関連(10年間保管とiPS細胞上清液作成など)とスキンケア製品製造(1年分の商品)で1000万円ほどかかるものの、24年末時点で7人の申し込みがあり、初回のスキンケア製品が2月下旬をめどに完成する。
エスヴィータは化粧品の戦略PR企画やEC事業、美容医療クリニック運営などを手掛けるワンストップ型の美容・健康コンサルティング会社。篠﨑祥子エスヴィータ社長は「昨今、オンライン肌測定や肌測定器、IoTディバイス、アプリなどを活用した、パーソナライズコスメが続々と誕生している。その中で究極の完全オーダーメイドコスメを追い求めた結果、『イプシア』が完成した」と語る。
「イプシア」は、自分自身の細胞を培養し、その過程で生まれるiPS細胞上清液を用いたスキンケアを提供する。製品が完成するまでのプロセスは、カウンセリング後に提携クリニックで採血し、iPS細胞を培養。化粧品に細胞そのものを添加することが禁止されているため培養の際にできる液体の層(iPS細胞上清液)を原料として使用する。肌質や悩みに沿った有効成分を組み合わせ、好みのテクスチャーや香りに至るまで、一人一人の要望に合わせてカスタマイズする。iPS細胞の培養に2〜3カ月要するとから製品化まで6カ月〜1年程度かかる。採取した細胞は10年間冷凍保管するため、追加製造も可能だ。
価格はiPS細胞関連(培養や冷凍保管など)が約500万円、化粧品製造が250万円〜。化粧品は美白・ハリ・毛穴など求めるスキンケア効果や、香り、テクスチャーなどフルオーダーが可能。容器やパッケージデザインなどもリクエストを受け付ける。「希望の成分などを組み合わせたり、容器やデザインにもこだわったりすると約1000万円程度のコストが必要とお客さまに伝えている」。iPS細胞を保管できるため、再生医療での活用も視野に入れた医療目的で行う人もいる。
今後は百貨店や提携の美容クリニックなどを中心に、イベントやカウンセリング、説明会などを定期的に開催し認知向上を図る。また、スキンケア領域だけでなく、医療機関と美容クリニックとの協力体制のもと、点滴や点鼻といった新たなアプローチの検討や外国人と対象とした医療ツーリズムなど、多角的な視点での展開を計画する。