ファッション

「プラン C」、ブルーベル・ジャパンと提携で日本市場を強化 デザイナーがビジョンを語る

「マルニ(MARNI)」創業者の娘、カロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)が手がける「プラン C(PLAN C)」。カスティリオーニの型にはまらない自由なクリエイティビティーは、2019年春夏シーズンに始動して以来、一貫してポジティブで遊び心のある自立した女性像を描く。同ブランドは8月からブルーベル・ジャパンとパートナーシップを締結し、日本市場を強化していく。このほど東京・銀座のギンザ シックスにオープンした新たな旗艦店を訪れたカスティリオーニに、同店の印象や今後のビジョンについて聞いた。

WWD:新たな旗艦店を訪れた感想は?

カロリーナ・カスティリオーニ(以下、カスティリオーニ):本やアートも楽しめるギンザ シックスは、出店するには最適な場所だと思いました。今回も彫刻家のドゥッチョ・マリア・ガンビ(Duccio Maria Gambi)が、設計に入ってくれました。彼とは2018年に出会い、以来全ての店舗の設計に関わってくれています。私たちは共通点が多いんです。この店では、アクセサリーを陳列する什器やハンガーラックなどを彼が手掛けてくれました。特に気に入っているのは、ステンレススチールやコンクリート、カーペットなど異なる素材が、とても上手くマッチしているところ。色使いも「プラン C」のDNAと共通します。私は毎シーズン、新しい色の組み合わせを生み出すことに挑戦しています。たとえば2023-24年秋冬シーズンでは、アクアやパープル、ビスタチオをメインに採用しましたが、この色のコンビネーションがとても好きなんです。

WWD:「プラン C」は特にポジティブでユーモラスな色使いが魅力だ。独特な色彩感覚は母親から受け継いだもの?

カスティリオーニ:いいえ。ファッション業界で育つなかで自然と身に付いたのだと思います。高校時代からアートを学び、常にデザインやアートに関心が高かったことも理由でしょう。私のアプローチは、ほとんど直感なんです。アート作品から着想を得ることもあれば、素材のリサーチをするなかでカラーチャートから閃くときもあります。

「母が教えてくれたのは、インディペンデントであること」

WWD:では、母親から受け継いだものをあげるとしたら?

カスティリオーニ:母と私のクリエーションには多くの似た部分があると思いますが、母が教えてくれたのは何よりもインディペンデントであること、自分の考えを貫くことです。「プラン C」はまさに私自身の直感を信じて実現したプロジェクトでもあります。母は「プラン C」のクリエーションには関わっていませんが、いつも店1店舗くらいの個人オーダーをしてくれます(笑)。気に入ってくれているということだと思います。私も当時「マルニ」で同じことをしていました。

WWD:ブランドのシグネチャーである“ピリ アンド ビアンカ”のモチーフは、娘が描いたものだと聞いた。あなたのクリエーションは、家族がいろいろな形で影響している。

カスティリオーニ:家族はとても大事な存在です。あのイラストは、私の娘が3歳の時に友人の似顔絵を描いたものなんです。シンプルな線やシルエットがとても可愛くて、ブランドを始める時に、あれをロゴに使ったらいいんじゃないかと思いつきました。今彼女は9歳で、作風も少し変わりましたね。

WWD:コロナ禍を経てクリエーションに変化は?

カスティリオーニ:大きな変化はありません。創業当時からファッションショーは開催せず、年に2回のコレクション発表で、正しいパートナーと手を組んで慎重にビジネスを成長させていこうと考えていましたから、コロナ禍でも何かを大きく変えなければいけないことはありませんでした。シーズンの垣根をこえて着られる高品質かつディテールにこだわったモノ作りも創業時から大事にしています。一つ挙げるとすれば、工場が動かなかったので、すでにストックしている生地を使って制作しなければならず、新素材を使った革新的なことはあまりできませんでした。しかし、喜びに溢れた、明るい未来に向けたクリエーションを作り続けることは常に心がけました。

WWD:日本でブルーベルをパートナーに選んだ理由は?また今後のビジョンは?

カスティリオーニ:ブルーベルは私たちのクリエイティビティーや美学を理解してくれると思ったからです。すでに良いスタートが切れています。この店舗がその証拠で、とてもうれしく思っています。まずはギンザ シックスの店舗を軌道に乗せることに力を入れますが、出店機会は引き続き探します。そして特にレザーバッグなどのアクセサリーも強化し卸売ビジネスを成長させていく計画です。これからもやみくもにマーケットを広げたりせず、正しいパートナーを見極めてブランドを育てていきたい。アートやライフスタイルへのアプローチが好きな私にとって、先日伊勢丹でも開催したポップアップイベント「リトラッティ」プロジェクトは良い出発地点になりました。来週のミラノ・ファッション・ウイークでは、ニューヨークで活動するウクライナの写真家であり画家、映画監督としての顔を持つイェレナ・ヤムチュック(Yelena Yemchuk)との展示も予定しています。ファッション以外の分野にもさらにクリエイティビティを広げていきたいと思っています。

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