ファッション

「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」東京展の全貌公開 日本文化と融合した圧巻の空間

 「ディオール(DIOR)」は、東京都現代美術館で12月21日から2023年5月28日まで開催する「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展の会場を19日、メディアに向けて公開した。同展は仏パリを皮切りに、英ロンドン、中国・上海、米ニューヨークなど、世界各地を巡回してきた回顧展だ。創設者クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が影響を受けた芸術や庭園への愛、そしてメゾンと日本の絆に焦点を当て、75年におよぶ「ディオール」の軌跡を、歴代のアーティスティック・ディレクターによる作品や、初公開の貴重なアーカイブ資料を通じて紹介する。

 プレスカンファレンスには、来日中のマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターや、ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=クリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)会長兼最高経営責任者(CEO)らが登壇した。キウリ=アーティスティック・ディレクターは同展について、「2016年に『ディオール』のアーティスティック・ディレクターに就任し、17年には日本でショーを開催した。今回はそれ以来の来日だ。さまざまな側面や国とのつながりを展示したエキシビジョンになっている」と説明。ベッカーリ会長兼CEOは、「1953年には大丸と契約を結ぶなど、メゾンと日本の間には長い歴史がある。マリア・グラツィア(・キウリ)を含め、われわれは日本から多くのインスピレーションを受け、作品に落とし込んできた。素晴らしい作品をこのように具現化できてうれしい」とコメントした。

歴代の“バー”スーツと
数々の名作を一挙に展示

 会場では、世界的センセーションを巻き起こした“ニュールック”の象徴“バー”スーツをはじめ、創業者ムッシュ・ディオールの後を引き継いだイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)やマルク・ボアン(Marc Bohan)、ジャンフランコ・フェレ(Gianfranco Ferre)、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)、ラフ・シモンズ(Raf Simons)、そしてマリア・グラツィア・キウリら歴代のアーティスティック・ディレクターによるオートクチュールを、現在から過去へとさかのぼる形で展示している。

メゾンと日本の深い絆
ねぶたの技法も融合

 今回の目玉の一つが、「ディオール」と日本の長きにわたる絆と歴史を改めて振り返る展示だ。「ディオール」いわく、同メゾンは「日本に最初に進出した西洋のファッションブランド」であり、1953年には鐘紡および大丸と契約を締結し、同年に帝国ホテルでファッションショーを行うなど、そのつながりは約70年にも及ぶ。同展では、ジョン・ガリアーノが2007年春夏オートクチュール・コレクションで発表した、葛飾北斎の浮世絵を落とし込んだコートを日本初公開するほか、東京で開催したマリア・グラツィア・キウリ初のオートクチュール・コレクションのドレスなど、日本に着想を得た作品を新たなキュレーションで展示している。空間は、建築家・重松象平が日本のランドスケープと「ディオール」のドレスのシルエットから着想を得て、ねぶたの技法と素材を用いて演出した。

 また、日本人写真家・高木由利子が同展のために撮り下ろした作品も、会場の随所に散りばめている。高木は「感情や時間を込めたものがオートクチュールだと感じた。花が好きだったムッシュ・ディオールへのオマージュとして、花を一つのキーワードにして撮影した」と述べる。ヘリテージの服の半数以上が繊細なピースのためモデル着用できなかったので、「モデルには花一輪を持たせ、マネキンの顔を一輪の花にすることで、つながりを持たせた」と制作背景を語った。

日本庭園をイメージした空間や
スター着用のドレスなども

 会場は、1階と地下2階の2フロア構成。吹き抜けのアトリウムには、地下から1階にわたる広大な展示スペースに夜会用のドレスがずらりと並ぶ圧巻の空間演出で、観客をさらに夢の世界へと誘う。「コロラマ」のセクションでは、ミニチュアサイズの服や小物、ジュエリーによる色別トータルコーディネートを虹のように展示した。日本庭園をイメージした空間には鮮やかなドレスが並び、天井から垂れ下がる藤の花は、切り絵アーティスト柴田あゆみが制作した。

 また、「ディオール」とスターたちのつながりを紹介するセクションでは、グレース・ケリー(Grace Kelly)やリタ・ヘイワース(Rita Hayworth)、マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)、エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)など、メゾンを愛したスターが着用したドレスも展示。ほかにも、現代アーティストとのコラボレーションバッグを発表するプロジェクト“ディオール レディ アート(DIOR LADY ART)“や、“レディ ディオール アズ シーン バイ(LADY DIOR AS SEEN BY)“などを通じて再解釈したバッグ“レディ ディオール(Lady Dior)“を一堂に集めた迫力あるセクション、“ミス ディオール(Miss Dior)” “ジャドール(j’adore)“などのフレグランスの歴史も紹介している。

■「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展
日程:12月21日〜2023年5月28日
時間:10:00 - 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(2023年1月2、9日は開館)、および12月28日〜2023年1月1、10日
場所:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
入場料:一般 2000円、大学生・専門学校生・65歳以上 1300円、中学・高校生以下無料(学生証を提示)

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