ファッション

ミラノの異才「マリアーノ」 26歳デザイナーが世界に届ける“ハッピーなプレタポルテ”

 イタリアを拠点とする「マリアーノ(MAGLIANO)」は、サルトリア仕込みのテーラリング技術を武器にした独自のシェイプと、ポルノ漫画など奇抜なモチーフ使いでジワジワと知名度を上げているメンズブランドだ。2018年に「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」で新人デザイナー賞「Who’s on next !」受賞し、19年にミラノ・コレクションでランウエイデビューを果たした。現在、海外で20、日本で15のアカウントに卸している。

 デザイナーのルカ・マリアーノ(Luca Magliano)は1995年生まれの26歳。「まだまだ小さなブランドだよ」と話す彼に、デザイナーを目指した原体験から毎シーズンのコレクションの作り方、ブランド初期から登場する謎のおじさんモデルなどについて聞いた。

WWD:服作りを始めたきっかけは?

ルカ・マリアーノ(以下、ルカ):小さなころから服が好きだった。僕の地元ボローニャには大きなマーケットがあって、そこで服を買ったり売ったりしながら、 “服を着てハッピーになる感覚”を覚えたんだ。これがデザイナーを目指した原体験だね。高校卒業後、ジャーナリストで建築家のバルバラ・ネロッツィ(Barbara Nerozzi)に師事して、服や建築などデザイン全般を学んだ。

WWD:ファッションに専念していたわけではなかった。

ルカ:そう。建築からグラフィック、プロダクトまでいろんなデザインを勉強した。知らないことだらけで、毎日衝撃を受けていたよ。そんな時、師匠から「ルカはファッションがいいんじゃない?」と勧められて、ファッションデザイナーに専念することに決めたんだ。その後、運良くアレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)のもとで経験を積めて、16年に「マリアーノ」を立ち上げた。

WWD:デラクアのもとで学んだテーラリングは「マリアーノ」の軸になっている。

ルカ:そうだね。「マリアーノ」はストリートブランドではなく、フォーマルな日常着。だからサルトリアの技術やイタリアの工場でしか表現できない素材・ディテールを積極的に使ってるんだ。

WWD:その一方で、生地をツイストさせたり、ポルノのグラフィックを用いたりと、斬新なデザインも目を引く。これらの根底にはどんな思いがある?

ルカ:フォーマルでありながら、“ハッピーな時間に着てもらうプレタポルテ”を目指している。着るだけで気分が上がるのはファッションの一番の面白さだからね。最近は頭の中でヒーローを作って、それにインスパイアされながらコレクションを広げている。例えばスーパーセクシーなキャラクターだったり、ボローニャで有名なゲイのキャラクターだったり。ポルノの絵をジャケットに貼り付けたのも、ここから派生したアイデアだね。あとは「こういうコミュニティがいるんだよ」と政治的なメッセージも忍ばせている。洋服はメッセージを伝えるツールでもあるから。

WWD:2022年春夏コレクションではアップサイクルを大々的に取り入れた。その理由は?

ルカ:ブランドを始めたときから、デッドストック素材を使ったり、古着をリユースしたりしてアップサイクルを取り入れてきた。予算の都合だけじゃなく、エコロジカルな服をどう提案していくのかは毎シーズン考えているテーマなんだ。今回はミリタリーウエアを再利用するなど、エコロジカルなアイテムを拡大した。ロックダウン以降、服作りの環境が変わって、よりサステナブルについて考えるようになったんだと思う。今、この時代にファッションをやる以上、環境に対する責任は持たないといけないからね。

WWD:現在の顧客層は?

ルカ:マーケットにもよるけど、幅広い年齢層に男女問わず着てもらっている。若者向けなイメージがあるかもしれないけど、実はおじいさん、おばあさんにも人気なんだ。クラシックな作りがベースだから、手に取りやすいんだと思う。

WWD:一番大きなマーケットは?日本のマーケットは何番目に大きい?

ルカ:日本が一番大きい。セールス戦略もしっかり練っているし、毎シーズンフィードバックももらっている。2番目はフランスで、ここ数シーズンは中国もすごく伸びている。まだまだ大きなブランドじゃないけど、着実に成長している。どんなものが市場で必要か、そして自分たちにとってベストなどんな手段は何か。地味だけど、これを意識し続けることが大事なんじゃないかな。

WWD:チームメンバーはどんな人がいる?

ルカ:スタイリストのエリーザと、MDやプロモーション、ディベロプメントを担当するヌンツィオ、そして僕の3人。この3人で密にコミュニケーションを取り、SNSコンテンツやコレクションの方向性を決定している。そして外部のクリエイターと協力しながら、40〜50型のコレクションを制作しているんだ。少数だからこそ、自分たちのやりたいことを純度高く表現できている。

WWD:毎シーズン登場するおじさんモデルは誰?

ルカ:トニーのこと?よく見てるね!彼は仲の良い友達で、ファーストシーズンのショーから起用しているんだ。クールでチャーミングでセンシュアリーだから、ブランドの象徴なんだ。

WWD:26歳でいろんなことに興味があると思う。休日は何をしている?

ルカ:今は仕事ばかりだね(笑)。ファッションデザインが好きなというのはもちろん、それ以上に、今が頑張りときだと思ってるから。本当にフリーなときは、ビーチで1日中本を読んでるかな。

WWD:今後ブランドの展望を教えてください。

ルカ:ブランドをもっと成長させたい。あと、ショーもやりたい。さらに先のことを言えば、ビスポークにチャレンジしたいと思っている。プレタポルテはあくまで量産できる服。個人の好みをそのまま反映できるビスポークで、よりスペシャルな服が作ってみたい。あとは自分の店を持って、ブランドのハッピーな世界観を伝えながら、それに共感する人が集まる場所を作りたい。でもまずは、目の前の仕事に打ち込んでいくよ。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2022年春夏速報第二弾は、注目の3大ムードを解説 日本から唯一現地入りしたビームスのリポートも

今週号は、日本からパリコレ入りしたおそらく唯一のショップ関係者であるビームスの戸田慎グローバル戦略部長によるパリコレダイアリーからスタート。来年本格始動する海外ビジネスのために渡航した戸田部長が目にしたパリコレ、展示会、パリの街並みをお伝えしつつ、そこから感じたこと、業界人がみんなで再考・共有すべきファッションへの想いを存分に語ってもらました。トラノイやプルミエール・クラスなどの現地展示会の雰囲気…

詳細/購入はこちら