ファッション

「ディオール」の職人技に感動し、「アライア」の今後に期待 ドキドキワクワクのクチュール初体験記 Vol.1

 こんにちは。WWDJAPANヨーロッパ通信員の藪野です。9カ月ぶりに出張を再開し、南イタリアで「マックスマーラ(MAX MARA)」2022年リゾート・コレクションのショーを取材した後、パリに到着しました。EU内の多くの国は、20分ほどで結果が出る抗原検査の陰性証明でも渡航可能になったので、今はずいぶん気軽に行き来できるようになっています。実際、パリの空港では入国審査があったものの、陰性証明はまったくチェックされず。拍子抜けしてしまいました。

 今回の目的は、21-22年秋冬オートクチュール・ファッション・ウイークの取材です。これまでプレタポルテしかコレクションを取材したことがないので、実のところ、ちょっとドキドキ。ただ、数は少ないですがリアルショーが再開するのでコレクションを生で見られること、そして展示会で服に触れられたりデザイナーと直に話せたりすることへのワクワク感で、そんな不安は吹き飛びました。ここでは、現地で見て、聞いて、感じたことを綴っていきますので、クチュールの世界を楽しんでいただけたら幸いです。

4日20:30 アライア

 今シーズンは注目トピックが多いのですが、まずはラフ・シモンズ(Raf Simons)の右腕として長年活躍してきたことで知られるピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)をクリエイティブ・ディレクターに迎えた新生「アライア(ALAIA)」のデビューです。2017年にこの世を去った偉大な創業デザイナーの跡をどのように継いでいくのか、どんなコレクションを披露したのかは、こちらの記事をご覧ください。ショー翌日には展示会にも行ってきましたが、その完成度からはピーターを支えるアトリエの力を感じました。今後がとっても楽しみです。

5日12:00 イリス ヴァン ヘルペン

 リアルショーが再開したとは言いつつも7ブランドのみで、大半はデジタル発表。顧客やメディア向けには、個別にアポイントをとってコレクションを見せるというブランドが今季は多いです。

 オランダ発の「イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)」は、実際に見られることを楽しみにしていたブランドの一つだったのですが、パリにはコレクションを持ってこないことになったそうで、残念ながら映像で見ることに。手仕事とテクノロジーを掛け合わせて作られる彼女の服には、いつも異世界の生物のような神秘的な美しさや生々しさが漂います。今季の映像は、そんな服にマッチする壮大な岩山を舞台に撮影。スローモーションを生かして、羽衣のような生地が風をはらむ様子や神々しい雰囲気が存分に表現されていました。そしてラストには、なんとスカイダイバーが登場!繊細なクチュールを着てスカイダイビングだなんて、前代未聞ですよね(笑)。このドレスは時速300kmでの降下という負荷に耐えられるように何度もテストを重ねて作られ、4回ダイビングを行って撮影されたそうです。

5日14:30 ディオール

 過去2シーズンは、ファンタジー映画のような映像作品でオートクチュールを披露してきた「ディオール(DIOR)」ですが、6月中旬にギリシャ・アテネで開催した22年クルーズ・コレクションに続き、オートクチュールも観客入りのリアルショーを再開させました。会場は、かの有名な「考える人」が展示されているロダン美術館。中庭に建てられた特設テントを入ると、壁全面がシルク刺しゅうのアートで囲まれた空間「シルクの部屋(Chambre de Soie)」が広がります。こちらはアーティストのエヴァ・ジョスパン(Eva Jospin)が描いた森のドローイングをベースに、インドの刺しゅう工房と工芸学校の職人たちが数カ月をかけて手作業で作り上げたもの。なんと150もの異なるテクニックが使われているそうで、長さは40m、大きさは350平方メートルに及びます。その背景には、クラフツマンシップを称え、未来に継承していきたいというマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターの強い思いがあり、その視覚や触覚を刺激する空間からコレクションへの期待も高まります。

 ショーは、マルク・ボアン(Marc Bohan)が手掛けていた1963年に発表されたコレクションから着想を得たというツイードのトータルルックからスタート。質感豊かなツイードは今季のキー素材で、曲線を描くように異なる色調をシームレスにつないだり、部分ごとに切り替えたり。装飾でも、さまざまな色のフェザーを組み合わせてツイードのようなミックスカラーを再現しています。トレーンを引く幻想的なドレスに使われたくすみがかった美しい色使いは、背景のアートから飛び出してきたよう。今季はそんな色と質感、そして多彩なプリーツや編みなどの職人技が際立つコレクションに仕上がっていました。

5日15:30 メシカ

 オートクチュールの期間中には、ハイジュエリーの展示会も数多く開催されます。「メシカ(MESSIKA)」は、ダイヤモンドディーラーの父を持つヴァレリー・メシカ(Valerie Messika)が2005年に立ち上げたブランドで、昨年にはケイト・モス(Kate Moss)ともコラボレーションしていました。今季は、人と惹かれあい、再びつながることができる喜びをジュエリーで表現。2つのダイヤモンドやリングを並べたデザインがポイントになっていましたが、“あなたと私”をイメージしているそう。なんだかロマンチックですね。

5日16:30  Y/プロジェクト

 クチュールとは関係ないのですが、現地のPRから案内をもらい、先日パリメンズで披露された「Y/プロジェクト」22年春夏コレクションをチェックしに展示会へ。「ディーゼル(DIESEL)」のクリエイティブ・ディレクターにも就任し勢いに乗っているグレン・マーティンス(Glenn Martins)のシグネチャーブランドは、いろいろな着方を楽しめるクセのあるデザインが特徴。初期の頃はそれこそ「どう着るのか?」や「一人で着られるのか?」と考えるアイテムが盛りだくさんでしたが、ずいぶんリアルになった印象でした。バッグやアクセサリーのバリエーションも増えて、「メリッサ(MELISSA)」とのコラボシューズの第2弾も登場。写真ではお届けできませんが、このシューズ匂い付きです。

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