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“ファッション写真とは何なのか?” 若手写真家・奥山由之に聞く

 「ギンザ(GINZA)」1月号で、「2015年のファッション」をテーマに83枚の写真を撮り下ろしたのが、24歳のフォトグラファー奥山由之だ。特集を記念して12月22〜24日には「NEW FASHION PHOTOGRAPHY」展を原宿ヴァカントで開催する。来年には大規模な個展をひかえるなど、今注目の若手フォトグラファーだ。現場での感覚に長けており、撮影で「チェキ」や「写ルンです」を使用するなど、独特の写真には定評がある。一方でまわりからは“リサーチも緻密で努力家”との声が多い。そんな奥山由之の考えをひもとくべく、カメラについて、ファッション写真ついて、話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):写真を好きになったきっかけは?

奥山由之(以下、奥山):高校生の頃は映像を撮ることが好きで、絵コンテを書くために写真を撮っていました。その頃はデジタル一眼でしたね。本格的に写真を始めたのは大学1年生の頃。散歩が好きで、いろいろなものを撮っていました。映像には音声も時間もあるのに、写真には視角情報しかない。しかし、制約があることで、窮屈さの中に一種の奥深さ、見せすぎない色気のようなものを感じたんです。

WWD:フィルムカメラを使い始めたのはいつ?

奥山:タイに友だちと旅行に行った時に、友だちがフィルムカメラを使っていて。そこで撮らせてもらったのが最初でした。その後、すぐに撮ったものをまとめた写真集「ガール」を作成しました。大学2年生の終わり頃に、はじめてフィルムを使って仕事として撮影をしました。

WWD:フィルムカメラの何に惹かれた?

奥山:タイではじめて撮った写真は失敗だらけでした。でも、時間が経ってもう一度見てみると、意外といいと思う写真があったんです。撮った瞬間はその時の体験が残っていますが、時間が経つと経験抜きにフラットな視点で見ることができる。デジタルなら気に入らない写真はその場ですぐに消せるのに、フィルムはそれができない。おかげでこんな発見ができたんです。また、デジタルで撮った写真は全てを点にして色を数値化できますが、フィルム写真の色は数字では表せない。その場の光やフィルムなどいろいろな物体が介在するので、何が生まれるか分からないんです。予想した適正値ではないところで写真が生まれる面白さ、自分でコントロールできないことに魅力を感じました。

WWD:フィルムとデジタルの違いは何か?

奥山:フィルムとデジタルは別の次元の話だと思っています。テニスと卓球、油絵とクレヨンといったように。デジタルを否定しているわけもないですし、あえてフィルムを使っているわけではないんです。ただ、デジタルを利便性という面だけで捉えることは、意味がないように思います。

WWD:写真を仕事にしようと決意したのはいつか?

奥山:実は、「仕事にしよう!」と決意したことがないんです。大学卒業後に就職をしましたが、どうしても写真が撮りたくて、仕事を辞めました。撮りたいものがたくさんあるから、今がある、という感じです。昔から魅力的な人に対して、表現したものを見てもらいたいという気持ちが強かった。それを実行して、仕事につながって、今があるのかもしれません。

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