痩せすぎたモデルを起用した事務所やブランドに対し罰金や禁固刑を科す新法案がフランス議会下院で可決した。新法案には、「BMI(ボディマス指数)がフランス厚生労働省と医療機関が定めた基準に達しない者はモデル職から解雇の対象」とある。これを破った事務所などの雇用主には、最大6カ月間の禁固刑や7万5000ユーロ (約975万円)以下の罰金が科される。また、広告など宣伝目的のイメージ素材に修正を施し、被写体を実際の姿より細く見せる加工をした場合、その旨をイメージ上に明記しなければ3万7500ユーロ(約487万5000円)の罰金を支払うことになる。
この新法案はフランスの医療制度の改定案の一項目であり、4月14日に再び下院で可決すれば、上院に持ち込まれることになる。痩せすぎモデルに関する新法は、フランス国民に限らず、フランス国内でモデルとして活動する全ての男女が対象になるため、施行に至ればファッション業界に大きな影響があると考えられる。オートクチュール・プレタポルテ連合協会(サンディカ)や、複数の有名ブランド、フランス版「ヴォーグ」などはコメントを控えている。フランスのモデル事務所組合(SYNAM)は、「モデルの細さと拒食症を混同するべきではない」と新法案に否定的だ。モデルの健康を守る取り組みはファッション業界において以前から続いているが、コレクション発表の場でもあるフランスで法的強制力を持つことになるかが注目される。