生成AIの進化により、検索や購買の起点がAIへと移行し始め、企業はいま大きな転換点に立たされている。ブランドは「見つけてもらう側」としての再設計を迫られる時代である。何を準備し、どんなデータを整理すべきか。デジタル戦略のエキスパートである藤原義昭300Bridge代表取締役が、AIレコメンド時代を見据えた、企業が打つべき次の一手を語る。(この記事は「WWDJAPAN」2026年3月2日号からの抜粋です)
「AIを活用したいが、何から始めればいいのか」ーーコンサルをする中でよく聞かれるんです。そんな質問への僕なりの答えを、これから3回にわたってお話しします。
AIの話って、すごく範囲が広いじゃないですか。ChatGPTを個人が使うのもAIだし、レコメンドエンジンにAIを組み込むのもAIだし。だから事業会社からすると、結局「何をやればいいのか分からない」になりやすいんですよね。
でも僕がいま企業側と話していて思うのは、AIそのものをどう使うかより前に、会社側の準備の問題の方が大きいということです。
いま多くの企業は、「将来AIを使わなければいけないとは思っているけど、何に使うか分からない」という状態にあります。だからこそ最初に必要なのは、AIを導入することではなく、AIを使える状態、つまり「AIレディー」にしておくことなのです。
なぜいまデータ整理なのか
AIが広まってきたことで、ビジネスモデル自体が変わり始めていると感じています。例えば集客。これまでのビジネスフローは、「集客」「接客」「購買」「継続」という流れが基本でした。でもこれからは、AI経由の流入が増えていく可能性が高い。そうすると、客にECへ直接来てもらうというより、「AIに見つけてもらう」ことが重要になります。
AIが何を見るかというと、商品のスペックだけではありません。「文脈」なんです。
店頭のスタッフは、いきなり機能説明から入らないじゃないですか。天気の話とか、予定の話とか、会話の中で顧客のニーズを引き出していきます。AIも同じで、顧客の文脈を読み取って提案していくようになります。だから企業側が持っておくべきなのは、商品スペックだけではなく、顧客にとって重要な「文脈」のデータなのです。
購買データだけでは足りない多くの企業は購買データは持っています。誰が何を買ったかは分かります。でも、それだけでは、AI時代には足りません。
重要になるのは行動データや思考データです。どんな記事を見ていたのか、どんなコーディネートを見ていたのか、何に興味があるのか。アンケートでもいいし、閲覧履歴でもいい。そういう情報を組み合わせて、その人を360度から理解することが必要になってきます。
ですから、まずやるべきなのは、データ戦略を作ること。インプットとアウトプットをどう設計するかを整理することなんです。
現実的に考えると、プラットフォーマーにならない限り、顧客が競合他社のサイトで何を見ているかのデータは得ようがありません。そういう情報を取れるのは、自社データの中だけです。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
