日本最大級のビンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET(以下、VCM)」が、3月28日と29日にパシフィコ横浜で開催された。会場は熱気に包まれ、オープン前には“ビンテージラバーズ”が長蛇の待機列を作った。全国の名店が一堂に会する同イベントは、ビンテージへの熱量を測る見極めの場とも言えるだろう。来場者たちはレアな一点ものを求め、全国から集結する。待機列先頭にいた大学生2人組の「戦利品」から、リアルな消費の現場に迫った。
ビンテージだけでなく、“ショップオリジナル”にも熱狂する若者
開催初日のオープン前、先頭で待ちきれない様子を見せていたのは、「新潟から車で来ました」という大学生の2人組、たろうさんとほりかわさんだ。前日の深夜2時から並び始め、約26時間もの待機時間を経てオープンを待ちわびていた。
共通のお目当ては、新潟のビンテージショップ「ディスマン(THIS MAN)」のオリジナルレザーカーディガン(25万8000円)だ。オーナーの大野寛太さんが普段から着用していたオーダーメイドのレザージャケットを商品化したオリジナルアイテムで、今回の「VCM」で初めて先行販売を行った。
9時30分の事前入場開始と同時に、2人は「ディスマン」のブースに一直線。人気店ということもあり、瞬く間に長蛇のレジ列ができたが、無事に目当てのレザーカーディガンを確保できた。さらに、それぞれTシャツも買い足していた。
買い物を終えた彼らにアイテムの魅力を尋ねると、「オーナーの大野さんが着ているのをずっと見ていたので、いつ発売されるんだろうって楽しみにしていたんです。1サイズなのに体にぴったりフィットするし、レザーも柔らかくて着心地がいいんです」と、長時間の疲労を感じさせない笑顔で語ってくれた。念願のカーディガンを羽織る2人の姿はとびきりうれしそうだった。
その後も買い物を楽しんだ2人のこの日の総額は、たろうさんは約32万円分、ほりかわさんは約55万円だったそう。資金の捻出方法を聞くと、「服にしかお金を使いません」(ほりかわさん)、「働いて、働いて、働くだけです」(たろうさん)とコメント。ファッションに対する熱量の高さを見せた。
人気の理由は、スタッフの人間力
先行入場が始まってからも、「ディスマン」のレジ待ちの列は途絶えなかった。人気の理由を大野オーナーに直撃すると、「とにかく、たくさんの方から『スタッフの人柄がいい』とのお声をいただきます。スタッフ全員がバイヤーとして海外に買い付けに行き、全員でお店に立つ。アイテムの魅力を熱量高くお伝えすることができるので、そういったところが愛されている理由なんだと思います」と分析する。商品力だけでなく、スタッフの人間力や接客力、ストーリーテリングがファンを生み出し、若者の心を鷲掴みにしているようだ。
単なる買い付けの古着ではなく、支持するショップが手掛けるオリジナルアイテムに夢中になる若者の姿は、現在のビンテージ市場におけるショップのブランド化を象徴しているとも言えるだろう。「何を買うか」と同じくらい、「誰から買うか」が大切になっている今の時代。顧客とのコミュニケーションから生まれる“ショップオリジナル”は、ビンテージ業界における新たなビジネスとしてさらなる伸び代を感じた。