ユニクロは法人・団体向けに商品を販売する事業「UNIQLO UNIFORM」を強化する。「コロナ禍などを背景に、ユニホームに対する世の中のニーズが以前とは変化しており、そこにチャンスがある。まずは国内で基盤を固め、ゆくゆくは海外でも展開し、比較的早期に中核事業の1つにしたい。ユニホームの世界でも圧倒的ナンバーワンを目指す」と、同事業を担当する柳井康治ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員は話す。
ユニクロは2000年代初頭から、法人営業部のもとで法人・団体向けサービスを手掛け、16年には法人・団体向けの専用ECをオープンしていた。「UNIQLO UNIFORM」会員数が22年に1万件を突破、26年8月期中に2万件を突破する見込みで勢いがあることから、24年3月に既存の法人営業部に、オリンピック・パラリンピックのスウェーデン代表チームのユニホーム制作を手掛けているチームが合流。「ユニフォーム&カスタマイズ部」を新設した。
BtoB(企業間取引)であるユニホーム事業は、少子高齢化が進む国内アパレル市場の中でも伸び代と目される分野。アダストリアやユナイテッドアローズ、ミズノなど、多数のプレーヤーが近年強化を掲げて伸ばしている。その中で「UNIQLO UNIFORM」は、「ユニクロ(UNIQLO)」の通常商品をベースにした豊富なアイテムラインアップ(デザイナーコラボ商品などは除く)とサイズ展開(XS〜4XL)、さまざまな気候や着用シーンに対応できる機能性、「UNIQLO UNIFORM」専用ECからオーダーできる手軽さ、日常着として幅広い層に浸透している知名度などが強みだ。
税込10万円以上の注文を対象に、社名ロゴなどの加工(シルクプリント、刺しゅう、転写プリントの3種)を提供。5万円以上の購入で10%割引を適用する。加工なしの場合の納期は最短3日、加工ありは最短3週間。
専用ライン設けた
セミカスタマイズも視野に
「一般的に、従来のユニホーム事業は1からオリジナルのものを作るため工数やコストがかかった。しかしコロナ禍を経て、オン・オフ共に快適に過ごしたい、ユニホームをスムーズに手頃に購入したいというといったニーズが増えている」と柳井取締役。「ユニホームだから1からオリジナルで作らなければならないとわれわれは思っていたが、実際は通常の『ユニクロ』商品に企業ロゴをプリントや刺しゅうで入れるなどしてお使いいただいている。お客さまの方が発想が多様化して先に進んでいた」と続ける。対企業向けだけでなく、学校制服や、部活の大会や文化祭、地域活動などでそろえて作る応援ウエア等も想定し、「既存のBtoB、BtoCのカテゴライズにとらわれず運営していけば、従来のユニホーム市場以上の拡がりも期待できる」。
記者発表会には、乃村工藝社、神奈川トヨタ自動車、雪印メグミルクという、「UNIQLO UNIFORM」導入企業3社の担当者も登壇。乃村工藝社のジャケット、パンツは1からオリジナルで制作したというが、他2社は通常商品をベースにしたもの。「『ユニクロ』は日常生活でなじみがあるため、社員の理解を得やすい」「会社ロゴのプリントを入れる位置や大きさについて細かくアドバイスをしてくれ、プリントサンプルも作ってくれた」といった声が出た。
「UNIQLO UNIFORM」として、「ユニクロ」の通常商品をベースにした拡大を念頭に置きつつ、「お客さまから改善点などのフィードバックがあれば迅速に対応していく」(小笠原一郎ユニクロ ユニフォーム&カスタマイズ部リーダー)。ユニホーム専用工場に専用ラインを設け、通常商品を基にしたセミカスタマイズなどに対応していくことも考えているという。