ファッション

営業からブランドディレクターに転身した理由 “日本”にこだわる「フィルメランジェ」3代目ディレクター

 国内生産で“メードインジャパン”をモットーにしたカットソーブランド「フィルメランジェ(FILMELANGE)」は2007年にブランドを創立し、今年11周年を迎える。これまで、尾崎雄飛「サンカッケー(SUN/KAKKE)」デザイナーが立ち上げメンバーとしてディレクターを務め、その後、岩井良太「オーラリー(AURALEE)」デザイナーが歴任してきた。3代目には、靴の輸入代理店のセールス&バイヤーだった関口文也ディレクターが就任。異業種から転身した関口ディレクターに、その理由や“メードインジャパン”へのこだわり、これからの「フィルメランジェ」について聞いた。

WWD:「フィルメランジェ」との出合いは?

関口文也ディレクター(以下、関口):21か22歳の頃、セレクトショップで見かけた箱に入ったTシャツ(ブランドを象徴するボックス入りTシャツ)が印象的だった。尾崎デザイナーがブランドを立ち上げた当初、原宿のギャラリーでポップアップショップをやっていたのですが、「フィルメランジェ」の商品はわずかで、古着がメーン、しかもお宝ビンテージが並んでいて衝撃でしたね。もともと「フィルメランジェ」はビンテージがベースにあり、その世界観に引き込まれたのかもしれない。当時はまだ、国内ブランドではポケットTシャツが珍しかった中で、のちにブランドを代表するポケットTシャツ“サニー”を見た時も新鮮でしたね。

WWD:10年続けたセールス・バイヤーから転身しようと思ったきっかけは?

関口:ずっと走り続けていたので、周りからもなんで辞めるのかって聞かれました。きっかけは、海外の靴工場を回っている中で、表層的ではない“目に見える”モノ作りに感化されたから。もともと服が好きだったこともあり、靴業界ではなくアパレルの世界でモノ作りに触れたかったという思いも強かった。「フィルメランジェ」は、原料である“わた”の選定から、糸、生地、縫製に至るまで、自社で開発を行っているので、そういった部分にも惹かれましたね。10年という節目も、後押しになりました。

WWD:「フィルメランジェ」は営業からスタートした。

関口:営業しつつも、モノ作りに携わることはしていた。本格的にディレクションを始めたのは2018年春夏から。シーズンに打ち出す素材や糸を選定し、デザインの提案をする。そこから、生地開発や企画をハンドリングするような業務をしている。加えて、営業の強みを生かせるので、プラスで動くこともあります。

WWD:国内生産にこだわる理由は?

関口:地方の工場の活性化に尽きます。“メードインジャパン”をうたうブランドが増えきているので、そういった意味では地方創生は進んでいると思いますし、そう簡単に工場は無くならないと思う。2020年に開催する東京五輪の波及効果もあり、高品質な日本製にフォーカスされ、日本の生産工場が脚光を浴びている。しかし、職人の高齢化や後継者不足は僕たちにとっても看過できない問題だと受け止めています。

WWD:これまで、京都の老舗履物屋「ない藤」や藍染め作りの職人集団のリトマス(LITMUS)など、多くの国産ブランドとコラボレーションをしているが、その狙いは?

関口:日本の“良いモノ”を発信することが根底にあるので、日本古来の伝統的なものを「フィルメランジェ」のフィルターを通して紹介しています。ウエア以外では、これまで直営店のハウス・フィルメランジェで、天然氷を製造する氷屋徳次郎の天然かき氷が食べられるイベントや、京都・宇治の利招園茶舗のお茶の特別販売、落語のイベントなどを行ってきました。日本の“良いモノ”は、敷居が高いイメージを持たれる方が多いので、ファッションの延長線で日本文化に触れる入り口になれたらと感じています。今後も、お客さまが文化的なことに触れていただく機会を作り続けていきます。

WWD:現在、直営店は1店舗だが出店計画は?

関口:店舗は条件が合えば出店したいと考えていますが、海外への卸売りを計画しています。かつて、オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)でも展開されていましたが、オファーをいただくことが増えたので、準備が整い次第挑戦しようと思っています。

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