シヤチハタは来春、化粧品事業に参入する。創業以来、100年にわたり培ってきたインキなどの液体研究技術を応用し、2027年4月に新たなビューティブランドを立ち上げる。現時点でブランド名は公表していない。第1弾として化粧水、クリーム、洗顔料、クレンジングの4品をそろえる。価格帯は8000〜1万2000円で、自社ECや楽天市場、アマゾン(Amazon)、 Yahoo!ショッピングなどオンラインで取り扱う。詳細は27年2月に発表する予定だ。
「ハンコのシヤチハタ」から事業領域を拡大
同社は1925年に創業した。ハンコの代名詞として“シヤチハタ”の名で親しまれている“ネーム9”やスタンプ台などの印章(ハンコ)・文具関連事業を主軸に、電子印鑑サービス「シヤチハタクラウド(Shachihata Cloud)」 などIT関連事業や新規事業に領域を広げている。化粧品事業は、事業領域拡大の一環として24年度から開発を進めてきた。30年度には、化粧品事業を含む新規事業全体で売上高55億円を目指す。
舟橋正剛シヤチハタ社長は「シヤチハタというとハンコの会社を思い浮かべる人が多いかもしれない」と述べ、自社を「暮らしのあらゆる『しるし』を進化させてきた会社」と表現。化粧品事業参入の理由は、「肌もまた、人の第一印象を形作る大切な『しるし』の一つ」と説明した。従来の商品と同様に、ユーザーの要望から逆算して製品を開発し、長年の液体研究で蓄積した知見を化粧品に生かすという。
100年のインキ研究で培った液体制御技術を応用
同社はこれまで、スタンプ台の上では乾燥せず、紙に押した後は速やかに乾くインキなどを開発してきた。相反する性能を両立するために、液体の表面張力や粘度、揮発性に加え、液体が接する素材の性質や温度・湿度などの条件を分析し、液体のなじみ方や浸透、蒸発を制御する技術を培ってきた。
新ブランドではこの技術を応用した独自の開発思想「レトロジック」を採用する。美容成分の種類や配合量、成分を肌に届けるデリバリー技術だけでなく、それらを含む液体全体の設計に着目。成分が同じでも、液体の構造や性質によって肌への作用が異なるという考えにもとづき、液体の挙動を細かく制御することで美容成分の力をより引き出すことを目指す。
将来的に“スキンケア以外”の展開も
新ブランドは30〜40代を主な顧客層に想定する。今後はポップアップストアなどで商品を試せる機会を設けるほか、リアル店舗での取り扱いも視野に入れる。将来的にはスキンケアにとどまらない商品の展開も見込む。