セイコーウオッチは7月18日、「キングセイコー(KING SEIKO)」初のグローバルアンバサダーに俳優の鈴木亮平を迎えたことを記念し、タイ・バンコクでプレミアイベントを開催し、同ブランドの最新シリーズ“バナック(VANAC)”もお披露目した。鈴木は国内外の多彩な作品に出演し、特に映画「シティーハンター」などは世界的なストリーミングサービスが配信、アジアを中心に知名度は高い。セイコーウオッチは今後、国内は大谷翔平、そして海外では鈴木を活用して「キングセイコー」の知名度アップを図る。アジアのハブで、経済成長著しく、多くのメディアが集うとの理由でバンコクでの開催を決めた。奇しくもキング、王が統率するタイでの開催となった。
イベントには同社の内藤昭男社長が登壇し、鈴木のグローバルアンバサダー起用について改めて「国内外のさまざまな作品と真摯に向き合い、常にベストを尽くしているインターナショナルヒーロー。『キングセイコー』のブランドフィロソフィーである、伝統とイノベーションを盛り込んで最も新しいクラシックを目指す『The Newest Classic』の世界観を体現している」と説明。合わせて1972年に初登場したシリーズの復活版として、鮮やかなカラーリングや多面形のケースデザインなど、先鋭的なスタイルを打ち出した“バナック”復活の経緯を説明した。“バナック”のレギュラーモデル3種は、東京の現代の景色、「夕暮れ時」「真夜中」「日の出」を表現したパープル、ネイビー、シルバーのダイヤルが特徴だ。時計は既に販売しており、価格はいずれも39万6000円。
鈴木は、「1960年代のヴィンテージ『キングセイコー』を愛用している。時計づくりに対する一切の妥協を許さない姿勢に強く惹かれている」とブランドの姿勢に共感。「俳優として、先人が積み上げてきたクラシックな演技をリスペクトし学んだ上で、自分ならではの新しいスタイルを作っていきたい」と「The Newest Classic」への思いも語った。初めて見た“バナック”は、「大胆で斬新。個性的な色にも驚いた」というが、「数多くのモデルの中から“バナック”を選んだ、セイコーの挑戦にも感銘を受けた。本物でありながら、挑戦的で大胆なところも気に入っている」と続ける。歴史遺産好きの鈴木は、「バンコクの大都会にも、アユタヤの遺跡にも、もちろん東京のような大都会でも、(『キングセイコー』が誕生した工場がある)亀戸のような下町でも、どんなスタイルにも、オケージョンにも合う時計」と話した。
「WWDJAPAN」はイベントの直後、鈴木に話を聞いた。
「大胆、でも中身は本物という精神性」を表現したい
「WWD」:大事な時間、時とは、どんな瞬間か?
鈴木亮平(以下、鈴木):仕事が忙しい時は、車での移動中も大事な時間。誰かに運転してもらいながらリラックスしたり、自分が運転していてもセリフのことを考えたり、動く景色を楽しみながら移動する時も、今は大事な時間だと思っている。
「WWD」:そんなとき、腕にあってほしい腕時計とは?
鈴木:全てはTPOだが、元々ビンテージの時計が好き。「キングセイコー」は2本のビンテージを持っていて、いい意味で控えめなので、時計に目立って欲しくない時に身につける。一方、新作の“バナック”は、自己主張のある時計。いずれも国産で、日本で生まれ育った自分のアイデンティティやルーツとのつながりも感じている。
「WWD」:時計を選ぶ時の基準や考え方は?
鈴木:まず、哲学や歴史が知りたい。自分の生き方と合うかどうか?を考えている。デザインや市場価値ではなく、「それが自分に合うかどうか?」。「どう生きるか?」「どう生きていきたいか?」を考えている自分にふさわしい時計を選びたい。
「WWD」:どう生きていきたいと思っている?
鈴木:まずは俳優として本物でありたいので、やはり歴史ある本物なブランドのモデルを選びたい。「キングセイコー」にはいろんなモデルがあり、(腕に付けている)パープルの“バナック”のようになかなか人と被らない時計もある。職人たちが真面目に作りながら、“それだけじゃない何か”にも挑戦しているところは、割と自分に近いと思っていて、共鳴している。だから実は「キングセイコー」が復活すると聞いた時は、最初は少し寂しい気持ちもあった(笑)。「俺だけの」から「みんなの」になっちゃうの!?という気持ち。そんな自分が、今はグローバルアンバサダーとして、「みんなの『キングセイコー』になるため」の活動をするんだから面白い。特に“バナック”は、人によっても、国によっても、受け止められ方はさまざまだと思っている。いい意味で「置きにいってないから」。保守的なだけでは、「キングセイコー」もきっと“バナック”を復活させていない。でも、あえて今は“バナック”に挑んでいる。そんな精神性と、「でも、中身は本物」という根幹を表現していきたい。