ファッション

気鋭6ブランドがパリで合同展「ショールーム・トウキョウ」開催。海外市場開拓目指し

 「トウキョウ ファッション アワード(TOKYO FASHION AWARD)」を受賞した6ブランドが22日から27日までパリ3区のギャラリー(7 Rue des Filles du Calvaire, 75003 Paris)で合同展示会「ショールーム・トウキョウ」を開催している。初日の22日はレセプションパーティを開き、パリ・メンズ・ファッションウイークに集まる業界関係者に向けて日本ブランドの存在をアピールした。

 同アワードは、東京都および繊維ファッション産業協議会がファッション・ウィーク推進機構(JFW)との共催で今年創設したもので、海外進出を視野に入れる東京のファッションデザイナーに継続的な海外展開をサポートすることが目的。7人の現役バイヤーが審査員を務めた。

 出展しているのは「ディーティーティーケー(D.TT.K)」「サルバム(SULVAM)」「ファセッタズム(FACETASM)」「ファクトタム(FACTOTUM)」「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SALLIVAN)」の6ブランド。日本ではすでに人気・知名度が高いブランドが多いが、海外市場はほぼ未開拓。彼らの"あと一歩"を押し進めるため、パリでは2シーズン連続で同じメンバーで合同展を開く。また、3月の2015-16年秋冬「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」ではショーやインスタレーションを行う。

 デビュー11年目となる「ファクトタム」はニューヨークの合同展「カプセル」への出展経験はあるが、欧州は初めて。岡山デニムを使い加工を施した5ポケットやGジャンなど同ブランドにとってのスタンダードアイテムを多くそろえて初めて会うバイヤーに強みをアピールした。有働幸司「ファクトタム」デザイナーは初日を終え、「この時期のパリはメンズバイヤーに加え、プレ・フォールコレクションを買い付けにきているウィメンズのバイヤーも多い。"同じデザインでウィメンズサイズは作れないか"などリクエストをもらい広がりがありそうだ」と振り返る。

 「リトゥンアフターワーズ」は、世界各地の展覧会などを巡っている作品"七服神"をエッフェル塔の置き物と並べて展示した。また、2014-15年秋冬からスタートしたユニセックスライン「リトゥン バイ(WRITTEN BY)」のセーター5型も展示。クリエイティビティを前面に出すインスタレーションとリアルクローズの両方を同時に見せた。「リトゥン バイ」の卸し先は、日本は10件で海外はまだない。山縣良和デザイナーは「ここで学ぶことは多い。バイヤーとのコミュニケーションを通じてビジネスをしっかりと組み立てたい」と言う。

 「ファセッタズム」はアーカイブを中心にメンズとウィメンズを展示した。ブランドスタートから8年目で、日本での卸し先は現在40?50店舗。「そろそろ次のステップに進みたいと思っていた。いつかはパリで見せたいと思っていたからこの機会を生かしたい」と落合宏理「ファセッタズム」デザイナー。6月展に向けては海外市場に合わせて生産サイクルを早めて参加する予定だ。

 2014-15年秋冬にデビューした「サルバム」は、日本での販売先は5件。そんな"超若手"がパリデビューできるのも、バイヤー推薦制を取っている同アワードならではの特徴だ。藤田哲平デザイナーは「ヨウジヤマモト」でパタンナーとして経験を積んだ。「大きなブランドの中での仕事はやりがいはあったが、自分の会社を立ち上げ、ビジネスで独り立ちしたかった。ここでは他のブランドからも教わることが多い」と言う。

 出展ブランドのラインアップについて中村豊JFW事務局長は「若手から中堅まで個性と実力あるブランドが揃った。単独ではなく、ショールームとして出ることでパワーにつなげたい」と言う。個性が強いブランドの合同展は時に主張がぶつかり合うマイナス面もあるが、同展の場合は"化学反応"がプラスに働いているようだ。

 パリでの経験が豊富な「ジョン ローレンス サリバン」の柳川荒士デザイナーは「ショールーム・トウキョウ」のリーダー的存在だ。「相乗効果を求めるからこそ合同展に出ている」と、柳川デザイナー。「ジョン ローレンス サリバン」の海外展開は現在アジアがメインで、今後はヨーロッパの販路拡大を狙う。「海外市場をもっともっと伸ばしたい。かといって、時代に合わせるのではなく、時に突き放すくらいのブランドであり続ける覚悟だ」。

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