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「マルジェラ」や「ディーゼル」の親会社OTB、24年は5.3%減収 日本は16.3%増収と好調

ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」などを擁するOTBの2024年12月期決算は、売上高が前期比5.3%減の18億ユーロ(約2808億円)、営業利益は同68.6%減の4400万ユーロ(約68億円)だった。

同社はブランド別での売上高は開示していないが、ラグジュアリー部門に属する「メゾン マルジェラ」が引き続き好調で、現地通貨ベース(以下同)で同4.6%増だった。また、「ディーゼル」も同3.2%と堅調だった。

地域別の売上高では、景気低迷が続く中国市場は同5.7%減だったが、北米は同13.3%増、日本は同16.3%増と2ケタ成長だった。なお、同社の主要市場に位置付けられている日本は、売り上げ全体の26%を占めた。

販売チャネル別では、小売りが同7.4%増となり、売り上げ全体の57%を占めた。同社は24年12月末現在、世界で608の直営店を運営している。一方、卸は同15%減と不調だった。

OTBの会長とCEOのコメント

OTBのレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)創業者兼会長は、「ラグジュアリーセクター全体が厳しい状況に置かれていることを踏まえ、24年の結果に満足している。卸は不調だったものの、戦略的に強化した小売り部門は好調だった。財務上の短期的な成長よりも、中長期的な目線での持続的な成長を重視し、テクノロジーやマーケティングへの投資も継続した」と語った。

ウバルド・ミネッリ(Ubaldo Minelli)最高経営責任者(CEO)は、「24年はラグジュアリーセクター全体にとって複雑な年だったが、当社はそうした中でも販売網や経営構造の強化、グループの拡大など、将来に向けた投資を続けた。また、主要市場と位置付ける日本と米国も好調だった。さまざまな苦難に直面しつつも、傘下ブランド、商品、サプライチェーンに関する戦略を維持し、目標に向けて邁進できたことを誇らしく思う」と述べた。

米政府による関税の引き上げより「中国が気がかり」

ミネッリCEOはアナリスト向けの決算説明会で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が行うとしている関税の引き上げと米国における百貨店業界の再編について、「いずれも認識しているが、私たちにできることは何もない。静観するしかないという意味では同じだが、むしろ中国市場の回復の遅れのほうが気がかりだ。いずれ復活するであろう同市場への投資を続けると24年前半に決断しており、25年もそれを継続する」と述べた。

同氏によれば、24年に世界でオープンした61店のうち28店が中国にあり、出店数が増加するとともに売り上げも増加しているという。また、小売りを強化する戦略について、「売上高全体に占める小売りの割合は、21年は30%以下、23年は50%以上、24年は57%と増加している。将来的には、これを75%程度まで引き上げたい」と説明した。

「メゾン マルジェラ」の新トップ、グレン・マーティンスについて

「メゾン マルジェラ」のクリエイティブ面を14年から率いていたジョン・ガリアーノ(John Galliano)=アーティスティック・ディレクターは、24年12月11日に退任を発表。これを受け、OTBは1月29日、「ディーゼル」のグレン・マーティンス(Glenn Martens)=クリエイティブ・ディレクターが「メゾン マルジェラ」の指揮も執ることを発表した。ミネッリCEOはこの人事について、「『メゾン マルジェラ』が次章を迎えるにあたり、気心の知れたデザイナーにブランドを任せたいと考えた。グレンは『ディーゼル』を5年にわたって率いており、比類のない才能の持ち主だ。以前務めていた『Y/プロジェクト(Y/PROJECT)』のクリエイティブ・ディレクター職を離れているので、時間のやりくりも問題ないと判断した」と述べた。

一方で、「ジル サンダー」のクリエイティブ・ディレクターを務めるルーシー・メイヤー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)夫妻が、2月26日に開催する25-26年秋冬コレクションのショーを最後にブランドを離れるのではないかという臆測については、コメントを差し控えるとした。

IPOの実施は2026年?

また、兼ねてより期待されている新規上場(IPO)については、「引き続き準備を進めているが、急いではいない。経済環境がより改善していれば、26年ごろに実施するかもしれない」とコメント。同社は21年11月の時点では24年に、24年2月の時点では24年後半から25年前半にIPOを実施したいとしていた。

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