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「フェンディ」が100周年記念のフレグランス7種で表現した、創業から現代、未来を紡ぐ7人のストーリー

フェンディ(FENDI)」は来年のブランド誕生100周年を記念して、ハイエンドなフレグランスコレクションをローンチする。創業者のアデーレ・カーサグランデ・フェンディ(Adele Casagrande Fendi)から、現在クチュールとウィメンズウエアのアーティスティックディレクターを務めるキム・ジョーンズ(Kim Jones)まで、「フェンディ」の歴史にまつわる7人の人物にオマージュを捧げ、全7種の香りをラインアップする。ブランドにとって10年以上ぶりとなる香りのプロジェクトだ。LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)フレグランス部門の支援のもと社内で開発し、6月20日から一部の「フェンディ」直営店と公式ECで販売する。容量は各100mLで、予定価格は各4万9500円。

7人の人物に捧げる7つの香り

「フェンディ」の歴史は1925年、エドアルド(Edoardo)とアデーレ・フェンディ夫妻が毛皮と皮革製品の工房をローマに開いたことから始まる。アデーレに捧げる香りは、彼女の旧姓でありイタリア語で“偉大な家”を意味する“カーサ グランデ”と名付けられた。ミルラやアンバー、レザーにチェリーやバニラ、トンカ豆をブレンドした。母親のキスの記憶を呼び起こすフローラルな香り“ドルチェ バーチョ”は、アデーレ創業者の娘アンナ・フェンディ(Anna Fendi)に捧げられる。アンナの娘で3代目のシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)=アクセサリー&メンズウエア アーティスティックディレクターは、ダマスクローズとパチュリを合わせたこの香りについて「これは母を象徴する香りよ。フェンディ家の女性に共通する、とても強く、とても優しい女性の香り」と話す。

そう語るシルヴィアの香りは、フレッシュな“ペルケノ”。サンダルウッドやペッパーのアクセントを通して、ローマの田園地帯にあるシルヴィアの邸宅の庭で天日干しされる白いシーツを表現した。フェンディ一家は、週末になるとシルヴィアの邸宅に集まるという。一方ジョーンズ=クチュール&ウィメンズウエア アーティスティックディレクターのフレグランス“プリマ テッラ”は、アフリカに敬意を表した。ジョーンズは、「アフリカでの青春時代を香りにまとめたかった」と語る。タンジェリンやローズマリー、オークモスなどの香りを通して幼少期の思い出と地元の景色を反映した。

シルヴィアの娘で4代目となるデルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)=ジュエリー アーティスティックディレクターとレオネッタ・ルチアーノ・フェンディ(Leonetta Luciano Fendi)の香りは、それぞれ“センプレ ミーオ”と“チャオ アモーレ”だ。前者はマラケシュ郊外のオウリカ渓谷、後者は一家が夏を過ごすイタリアのポンツァ島が着想源。さらに“ラ バゲット”は、デルフィナの幼い双子タツィオ(Tazio)とダルド(Dardo)に捧げる。“バゲット”は、彼らのおやつであるバターと砂糖を塗ったパンと、ブランドの同名のシグネチャーバッグの2つの意味合いを持つ。シルヴィアは、「“バゲット”バッグをデザインした時、ちょうど妊娠していたの。このバッグは時代にとらわれない作品であり、常に新しい世代のアイデアと結びつくはず」と話す。

セルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「100周年に先駆けて、『フェンディ』ファミリーの歴史を新たな形で辿り直すフレグランスコレクションをつくりたいと思った。目標は顧客に感動を与え、ブランド誕生100周年となる2025年を特別な年にすることだ」と話す。既存のフレグランス“ラクアロッサ”や“ファン ディ フェンディ”などはライセンスのもとで開発された。新たなフレグランスコレクションは、アプローチやポジショニング、流通の点で既存品とは異なり、「フェンディ」の小売網でのみ販売する。同コレクションは売上高よりも、「フェンディ」の物語をより豊かにすることに貢献するという。

7つの香りは、ジョーンズ=クチュール&ウィメンズウエア アーティスティックディレクターと、シルヴィア=アクセサリー&メンズウエア アーティスティックディレクター、デルフィナ=ジュエリー アーティスティックディレクターの3人が中心となり、2年の歳月をかけて制作した。7つの香りをつくるために、チュニジア産のオレンジブロッサムやイタリア・カラブリア地方のベルガモット、インドネシア産のパチュリ、フランス産のアイリス、マダガスカル産のバニラなど、高濃度の原料を集め、クエンティン・ビッシュ(Quentin Bisch)やファニー・バル(Fanny Bal)、アンヌ・フリポ(Anne Flipo)ら熟練の調香師を起用した。

ボトルはガラス製で、詰め替え可能だ。「フェンディ」が本拠を構える、ローマ市南部にあるイタリア文明宮のファサードをはじめとする、地元の建築物にちなんだ繊細なアーチのデザインが特徴。FFロゴの浮き彫り加工をした黒いキャップと真鍮のリングで仕上げた。100mLサイズに加え、10mLサイズのフレグランス7種を詰め込んだボックスも300ユーロ(約5万円)で販売する。

フレグランス持ち運び用ミニチュアホルダー

さらに、香水を持ち運べる革製のミニチュアホルダー(290ユーロ、約4万9000円)を制作。2月に発表した24-25年秋冬コレクションのショー後に話題となった“チュッパチャップス(CHUPA CHAPS)”とのコラボレーション商品、ロリポップ専用ホルダーの遊び心を再現した。これらのミニバッグはセレリアレザーで制作。ブランシュウィッグ会長兼CEOは、「これらは『フェンディ』のようなブランドが何をすべきかを示す完璧な例だ。美しい商品と完璧な技術が、軽やかに表現されている」と語った。

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