ビジネス

イオンは「自力で衣料品をやり切る」 カジュアル衣料を子会社に移管、売り上げ7倍に

「われわれは自分たちで衣料品をやり切る。そのために長らく苦しみながら、SPAを目指して『トップバリュコレクション』を開発してきた。他社にお願いせず、自力でお客さまに支持されるものを開発し、販売していく」――。総合スーパー(GMS)の「イオン」を運営するイオンリテールは、衣料品のカジュアルウエア部門を、子会社で自社ブランド「トップバリュコレクション」を手掛けるトップバリュコレクション(小田嶋淳子社長)に移管・統合した。GMSの衣料品立て直しは、イトーヨーカ堂がアダストリアと組んで新売り場「ファウンドグッド(FOUND GOOD)」を2月に発表し、アパレル業界内で話題になっている。ライバルの「ファウンドグッド」について小田嶋社長に水を向けたところ、冒頭のコメントが返ってきた。

イオンリテールからカジュアル衣料をトップバリュコレクションに移管するに伴い、PBの「トップバリュコレクション」は「TVC」に刷新。展開店舗数は従来の全国82店から289店に拡大する。「企画はトップバリュコレクションが行い、生産や物流はイオンリテールの背景を活用する。従来はイオンリテールの背景を生かしきれていなかった」。2024年度(25年2月期)の「TVC」の売上目標は、「23年度比で7倍、28年度は同10倍」という。

289店で接客を実施
客の声吸い上げへ

「TVC」の24年春夏商品は従来よりも約50型拡大し、240型。ウィメンズ55%、メンズ45%の商品構成という。主力に据えるウィメンズ、メンズの“オルスタパンツ”は4378円。ボタンダウンシャツは3000円前後で、「ショッピングモールに出店する専門店より1ランク手頃」に設定する。

イオンリテールの中にも衣料品部門があり、さらに子会社でトップバリュコレクションがあることで、衣料品売り場の中で「品ぞろえの重複、その反対にMDの欠落、トレンドの欠落」などが起こっていた。小田嶋社長がイオンリテール衣料品部門の部門長も兼務することで、衣料品戦略を一本化。イオンリテールの衣料品として従来から企画してきたオケージョンウエアやシニア向け、Z世代向け衣料などは引き続きイオンリテール内で運営する。これまでと同様に、「TVC」では売り場スタッフによる声掛けや接客も行う。

国内外のグループ商業施設に出店

「TVC」はSPAとして精度を上げていくため、今後は289店の販売スタッフを介し、客の声を吸い上げてマーケットインの商品開発を進める。また、「情報発信が足りていない」ことから、「TVC」アプリを通した情報発信を強化する。

イオンリテールは23年秋から、衣料品改革として“専門店モデル”を導入している。従来の衣料品平場をデイリーカジュアル、オケージョン、スポーツライフスタイル、シニア向け、Z世代向け、雑貨という6つのカテゴリー別に分け、それぞれ専門店のような形での売り場作りを進めている。“専門店モデル”はイオン船橋(千葉)を皮切りに、今春までに全国6店に導入。今下期にかけても2ケタの店舗に導入予定という。「“専門店モデル”を導入した店舗の衣料品売り上げは好調」(井出武美イオンリテール社長)といい、将来的には“専門店モデル”の中核、デイリーカジュアルを占める「TVC」を、「国内外問わずグループの商業施設内に出店し、グローバルブランドとして成長させていきたい」。

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