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100億円を投入、ZOZOが最新鋭倉庫で見せた「物流2024問題」解決の本気度

「ゾゾタウン」を運営するZOZOは10月25日、100億円を投じた最新の物流拠点「ZOZOBASEつくば3(以下、つくば3)」をメディアに公開した。同施設はZOZOにとって5番目の物流拠点で、日本初導入となる高速仕分け装置「ポケットソーター(pocket sorter)」など、最新鋭のロボットや設備を導入した。今や1カ月で400万件以上を出荷するZOZOにとって(しかも月ごとに増加している)、物流の効率化は生命線の一つ。田代将広・執行役員は「効率化をコンセプトに自動化を進め、従来に比べ30%の省人化を達成できた」と語る。人手不足や「物流2024年問題」などネット通販を支えてきたアパレル物流が多くの課題を抱える中、“ZOZO流”のアンサーとは?

「ZOZOBASEつくば3」の概要

3月に竣工した「つくば3」の延床面積は13万7000㎡で、1時間に1万件の発送能力がある。これはいずれも「つくば1」(延床面積:13万㎡)とほぼ同じだが、自動化を進めたことで人員を3割ほど削減できたという。11月をめどに本格稼働する予定で、その時の総スタッフ数は約500人になる。

ZOZOは物流倉庫で、1.荷受け 2.検品 3.採寸 4.撮影 5.棚入れ 6.ピッキング 7.仕分け 8.発送というフローになる。「つくば3」は撮影フローがなく、入荷・出荷・保管であるため、3の採寸と4の撮影はない。

「つくば3」は各工程で自動化設備を導入したため、作業の標準化や省力化が達成できるようになった。特に威力を発揮したのが、7と8の仕分けと発送のフローだ。また、同社は優秀なIT人材を抱えており、システムを自社で設計・開発できるため、ロボットや機械を、比較的に自在に組み合わせ、システムを組み上げられた。実際の作業フローは下記になる。

500台を導入したロボットが楽チン仕分け

商品がブランドから倉庫に入荷すると、ダンボールを開け、検品し、仕分けすることになる。スタッフは開梱し、シールを貼ると、t-Sortというロボットに乗せ、ロボットが床下に埋め込まれたRFID(無線電子タグ)からの指示受けながら、折りたたみ式のコンテナ(オリコン)に入れていく。1系統あたり60台のロボットが動き、フル稼働だと8系統で500基のロボットが1時間あたり3万2000点ものアイテムを仕分けする。

仕分けしたオリコンから大まかなアイテムごとにエリア分けされた棚に入れていく「棚入れ」、配送に向けて棚からアイテムを再びオリコンに入れる「ピッキング」は従来どおり、人の手で行う。特に「ピッキング」に関しては、棚を探して人が探し回る必要があり、「ここは課題だと認識しており、自動化の道を探っている」(田代執行役員)。

圧巻&日本初導入の吊り下げ型高速仕分け機が「効率的なまとめ配送」を可能に

ピッキングされたオリコンは、高速で走行するシャトル(台車)が同時にコンテナの入出庫を行う「シャトル&サーバ」で、商品の出荷タイミングに合わせて時保管される。シャトルのスピードはかなり早く、1時間あたり2100ものオリコンを入出荷する。保管可能数は約5000コンテナで、アイテム換算だと8万5000点になる。このオリコンは、単品配送であれば配送エリアへ、複数の商品を同梱する「まとめて配送」であれば、「ポケットソーター」を通じて配送エリアに送られる。

つくば3の最大の目玉が、この日本初導入の吊り下げ型高速仕分け装置「ポケットソーター」だ。「ポケットソーター」は、豊田自動織機傘下の大手物流装置のトヨタL&F製で、すでにドイツのネット通販大手ザランドなどが導入している。服のように柔らかく、かつバリエーションの多い製品に威力を発揮する。縫製工場のハンガーシステムと類似のクレーンシステムで、ハンガーのかわりに布状のポケットに製品を入れ、天井をぐるぐると循環し、配送作業を行うスタッフの元へ、同梱すべきアイテムを届ける。

実は、ZOZOのように膨大なアイテムを配送する物流倉庫で、服のように柔らかいアイテムを同梱するのは、実はかなり難易度が高い。取り扱うアイテム数が多ければ多いほど、人がピッキングするために動き回る範囲がどうしても広くなってしまうためだ。

ZOZOは「シャトル&サーバ」と「ポケットソーター」を組み合わせることで、1時間で1万5000点のアイテムを仕分け、組み合わせ、そして最後の配送作業スタッフの元へ届ける。なお、「つくば3」の「ポケットソーター」のポケット数は2万6000。服の入ったポケットが通常の建物であれば3フロア分ほどの高さの天井をぐるぐると循環するさまは、非常にユニークな景観でもある。

ロボット&自動化は、ZOZOの「物流2024年問題」へのアンサーになるか

ZOZOが、この「つくば3」で重視しているのは、配送能力増やスピード以上に「効率化」に尽きる。背景には、2024年問題を筆頭にした「人手不足」がある。田代執行役員は「荷受けの効率化などにも当然取り組んでいるが、消費者と直接接点持つ我々が期待されている役割は、物流問題の解決のために新しい選択肢を提示し、社会全体にそのことを浸透させること」と語る。見学会では明言しなかったものの、その一つが「まとめ配送」をより広げることだと推測される。

物流を千葉県の習志野に2つ、茨城県のつくばに3つ構えるZOZOは、仮に購入者が2点以上を同時に注文したとしても、アイテムが異なる物流倉庫に分散しがちで、「まとめ配送」のためには一つの物流倉庫に集約する「荷合わせ」が必要になる。同じ「つくば」の倉庫であれば、「荷合わせ」にそう時間はかからないものの、習志野とつくばだとどうしても1日以上の時間がかかる。従来の配送以上の時間さえ取れれば、「まとめ配送」の数を増やせ、引いては配送件数をかなりの量削減できる可能性がある。自社内の倉庫間は、もともと循環トラックが走っており、「まとめ配送」の増加は環境負荷も低い。

つまり、ZOZOが「時間がかかるまとめ配送」という選択肢を提供し、消費者が「荷合わせ」意義と余分にかかる時間の理由を理解できれば、配送個数を削減し、物流問題の解決に寄与し、かつ排ガス削減などの環境負荷の低減にもつなげることができるのだ。ネット通販やメルカリの台頭は、無秩序とも言える配送個数の増加をもたらした。最新鋭の「つくば3」が今後、全体的な配送個数の削減という大きな命題に、どこまで寄与できるのかに注目だ。

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