ファッション

映画「スラムダンク」の知られざるアナザーストーリー バスケットボール音響監修/声優が明かす

 バスケットは…お好きですか?映画「THE FIRST SLAM DUNK」はやっぱりすごかった。本物のバスケの試合を見ているようなリアリティーは、25〜6年前に「少年ジャンプ」を読んでいた頃の興奮を呼び覚ます。その臨場感を際立たせる役目の“音”。映画の制作に「バスケットボール音響監修/声優」として参加したのが、リアル高校バスケ界最強、能代工業高校OBでモデルの新岡潤さんだ。劇中の“最強、山王”に命を吹き込んだ一人でもある。新岡さんに聞く制作秘話。要チェックや!(この記事は「WWDJAPAN」2023年4月24日&5月1日合併号からの抜粋です)

インターハイの臨場感をリアルに再現するために

 井上(雄彦)先生から「日本一の伝統を誇る高校バスケ部の雰囲気を教えてほしい」というオファーが来たんです。漫画の中では描かれていない部分も映像では必要になるので、最初は当時の応援を再現した声を録音して、送って欲しいとのことでした。

 そのサンプルを送ったところ、声優では表現できなかったみたいなんですね。声の中に「山王」というフレーズが入っていたり、動きに合わせた声が必要だったりで。それで俺の方で応援をアレンジすることになりました。その応援も大差で勝っているときと切羽詰まったときだと、どう違うのか、細かいリアルをどんどん追求しようと。本当に妥協のない現場なので、俺も妥協したくない。だから最終的に、能代工業のOBを10人集めたんです。当時の部員数は62人。ベンチに入れるのが12人なので、応援席には50人ぐらい。声を何度も重ねて50人の応援を表現しました。

 で、今度は名門校の振る舞いが分からない。例えば、インターハイ初出場の湘北高校は、シュートが1本入ると嬉しい。一方で、強豪校である山王工業は、勝つのが当たり前。ましてや初戦(山王はシードで2回戦から)で、無名の湘北高校が相手となれば、喜ぶとかは“無い”んです。応援席では、メガホンとペットボトルを持っていますが、メガホンの角度も全員乱れることなく、45度で統一。表情もほぼ無表情なんですよ。シュートの音やドリブルの音も俺とモーションアクターで録りました。

 だから、全部嘘じゃない。井上先生の妥協ない作品作りに同じ熱量で向かわせてもらいました。完成版を見て、脚本も素晴らしかったけれど、何よりアニメなのに過剰演出がない。それにも関わらず、観ている人をエキサイトさせる音と画力、実際に能代工業にいた俺から見ても全く違和感がなかった。原作コミックを超えてくる映画もなかなか無いと思うし、アニメ映画史上、最高傑作じゃないですか?

なぜ人は“エア ジョーダン”に惹かれるのか?

 ロングランヒットを記録する「スラムダンク」に続けと、4月に公開された「AIR/エア」はもう観た?バスケットの神様、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)のシグネチャーシューズ“エア ジョーダン(AIR JORDN、AJ)”の誕生に迫る物語。当時のナイキの社運をかけて、一発逆転の勝負に出た実話を映画化したものだけど、1985年の“エア ジョーダン1”のオリジナルカラーの一つ、赤×黒の通称“ブレッド”こそ、「スラムダンク」の作中で、桜木花道が履いているバッシュなのだ。というわけで、改めて“エア ジョーダン”を要チェックや!

3億円の値がついた話題の“AJ13”

 4月3~11日に開催された米「サザビーズ」で、マイケル・ジョーダン本人の着用した“AJ 13”が、なんと220万ドル(約2億9650万円)で落札された。1998年のNBAファイナル第2戦で着用した1足で、これはスニーカーの落札額として史上最高額。偶然にも“AJ 13”がジョーダンシリーズで最もお気に入りという新岡さん。こちらは新岡さんの私物の“AJ13”コレク ションだ。「小学3年生のときにバスケを始めて、そのときに女子部のエース2人が履いていたんです。それが初めて見た“エア ジョーダン”。ガチャガチャしていないシームレスなデザインと、ソリッドな配色が山王工業っぽくもある。小学校のときは高くてなかなか手に入れられなかったけど、ずっと憧れていて、大人になってからしょっちゅう履いています」。

桜木花道が100円で買ったあの“AJ1”、今おいくら?

 “エア ジョーダン”が誕生した1985年には、全部で18色の“AJ1”が市場に出回ったと言われている。その中でも、映画「スラムダンク」で桜木花道が履くこの“AJ1”は、赤と黒が湘北の色。この通称“ブレッド”には、シリーズの中でも伝説的なエピソードがある。

 1985年当時のNBAは「公式戦で選手が着用するバッシュは、70%以上が白の配色であること」と義務付けていた。これに違反すると1試合あたり5000ドル(当時のレートで約110万円)の罰金を払わなければならない。黒地のアッパーの“ブレッド”は明らかな異端。だが、規約違反のそのバッシュをマイケルは履き続け、その度にマイケルに科された5000ドルをナイキが肩代わりしていたというのだ。

 今となっては、このエピソードの真偽を知るのはマイケルのみだが、この規約を逆手にとったプロモーションは長く語り継がれている。ちなみに「スラムダンク」の作中で花道は、なんと100円で手に入れている。写真は、フラッシャー付きのデッドストック。数百万円はくだらないだろう。

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