ファッション

消費者が作る「リアル・ヴィンテージ」とは?

 消費者の間で、セルヴィッジデニムやローデニム、ヴィンテージ風デニムなど、デニムのフィット感だけでなくテキスタイルや質感への関心が高まる中、消費者の協力を得て、リアル・ヴィンテージデニムを販売する画期的な試みを、「アー・ペー・セー」を筆頭に複数のブランドが始めている。

 2010年にスタートした「アー・ペー・セー」のバトラープロジェクトは、消費者のローデニムを回収し、リペア後に再び販売するというものだ。ジーンズを返却した消費者は、半額で新しいローデニムを購入することができる。ノンウォッシュのまま、はきこんだジーンズのみが交換の対象となる。深いインディゴに絶妙なはきじわが刻まれたジーンズの内側には、返却した消費者が自らイニシャルを書き、必要に応じてリペアした後で店頭に並ぶ。新品のローデニム・セルヴィッジデニムが185ドル(約1万8000円)なのに対し、はき心地が良く、馴染みやすくなったバトラーデニムは、275ドル(約2万7700円)と高額になる。

 ドイツ・ハンブルクを拠点にデニムラインを展開する「クローズド」も、消費者がはきこんだジーンズを回収するプロジェクトをスタート。同社の代表者は「我々は35年の歴史を持つブランドだ。過去に販売したデニムが戻ってくるのが楽しみだ」と話す。最も古いモデルのジーンズを返却した消費者はブランドから1000ユーロ(約13万6000円)分のクーポンを受け取る。

 最近、同プロジェクトを始めたスウェーデンの「ヌーディジーンズ」は、再利用のジーンズを新品より安く販売する。価格は、新品のセルヴィッジデニムが169ユーロ(約2万2900円)、回収した商品は50 ~80ユーロ(約6800 ~1万800円)だ。消費者によってリアル・ヴィンテージとなったデニムを扱うブランドや、このように消費者にとってもブランドにとってもお得な、リサイクル的側面を持つプロジェクトは今後さらに増えそうだ。

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