ファッション

京都が眼鏡で激アツ!?  「G.B.ガファス」はローカルとしてローカル向けに商売

 京都が眼鏡で一躍、活性化していることは前回伝えた通りだ。第2弾は京都で27年、眼鏡ビジネスを続け、京都・東京・大阪・神戸で「G.B.ガファス」や「デコラ」を6店舗運営するグラッシーズの竹中太一社長に話を聞く。

WWD:2020年6月に、東京・渋谷と代官山に店舗を構えるグローブスペックス(東京、岡田哲哉社長)がエースホテルの上陸で話題となった商業施設、新風館にオープンし、21年5月には全国に28店舗を運営するアイヴァン(東京、山本典之社長)が新業態の「ジ・アイヴァン」を祇園に出店した。受け止めについて聞きたい。

竹中太一グラッシーズ社長(以下、竹中):京都はコロナ前、世界中のツーリストの行きたい都市であり、大きくクローズアップされた。実際、外国人旅行者も多かった。それゆえ、そこにビジネスチャンスを感じ、出店する流れは分かる。一方でわれわれのように、ローカルがローカル向けに行う眼鏡ビジネスもある。現在、G.B.ガファス京都のある中京区は僕の出生地であり、河原町や三条に比べたら人出は少ないが、そこには僕なりの物語がある。京都の人は豆腐ならあそこ、草履ならあそこ、とどこで何を買うかを代々受け継いでいる。この街では「100年くらいは老舗じゃない」がリアルで、当社も27年かけてようやく認知されてきた。「京都人は裏表がある」とも言われるが、隣同士が数百年単位で暮らしているからいさかいを起こしたくない。だから本音を押し殺す。それが指摘の理由だろう。人の出入りが激しい東京や大阪と違い、“変えるをしない”が信条になっている。コミュニティーの歴史が古く、ある意味で完結しているから、外から入ってきたものに厳しい一面もある。「京都(と名古屋)で商売が成功したら、どこでも成功する」なんて言葉もあるくらいだ。

WWD:コロナショックによるインバウンド消滅の影響は?

竹中:大阪の2店舗にはコロナ前、訪日外国人客の姿も見られたが、京都店の売り上げにおけるインバウンド比率は多かった時でも3%ほどで、影響はほぼない。

WWD:とはいえ、未曽有の状況下で何か対策は?

竹中:ここでも、慌てて“変えるをしない”だ。イタリア・ミラノで開催される世界最大の国際眼鏡展「ミド(MIDO)」や、フランス・パリの国際眼鏡展「シルモ(SILMO)」で、実際に新作を見て買い付けることはできなくなったが、定番アイテムを仕入れ・販売している。

WWD:“京都”というキーワードは、眼鏡ビジネスにおいてアドバンテージとなっている?京都と眼鏡の親和性について聞きたい。

竹中:商売を始めた27年前、当社は半分ほどをオリジナルアイテムで構成していた(現在は約2割)。そのため、足しげく眼鏡作りの本場である鯖江(福井県)に通った。京都-鯖江間は車で2時間半ほど。かつては“鯖街道”と呼ばれ、日本海で採れた鯖などの海の幸を京の都に届けるルートだった。鯖江に出入りする中で、「イエローズプラス(YELLOWS PLUS)」の山岸稔明君や「エイチフュージョン(H-FUSION)」の山岸誉君、「ステディ(STEADY)の金子昌嗣君など、鯖江出身の若手デザイナーを発掘・応援することもできた。

WWD:東京・大阪・神戸にも出店するが、京都の間で品ぞろえや戦略に違いはある?

竹中:当社には「デコラ」という別業態があり、2業態間でカラーの違いを出している。G.B.ガファスは“トレンド”重視型で中心価格帯は4万~5万円、客層は30~40代。一方、デコラのキーワードは“ラグジュアリー”で中心価格帯7万~8万円、客層は50~60代だ。

WWD:G.B.ガファスの売れ筋アイテムを教えてほしい。

竹中:アセテートタイプならウエリントン、メタルタイプならラウンドの細型が人気だ。そこに旬のブランドや、アセテートをセルロイドに替えるなどの素材提案でG.B.ガファスらしさを出している。また、別注色も強化しており人気だ。

WWD:20年3月にはECをスタートした。

竹中:おかげさまで手応えを感じている。

WWD:眼鏡ビジネスにおいて最も大事なことは?

竹中:ぶれないこと。ここでも“変えるをしない”だ。京都で長く商売を続ける店にはそれぞれのスタイルがあり、他店をまねる必要がない。 

WWD:次の27年をどう迎える?

竹中:現スタッフの中から後継者が出て、ビジネスを承継してくれたらと思う。そして、27年後も店を続けていてほしい。そのためには、ゆるやかながらも確実な成長が必要だ。

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