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「無印良品」が横浜市と連携し「地域の困りごとを解決」 関東初のスーパー併設店がオープン

 良品計画は5月14日、2020年8月に閉店した高島屋港南台店の跡地(横浜市)に、関東初となるスーパーマーケット併設型店舗「無印良品 港南台バーズ」をグランドオープンする。オープンに先立ち、12日に良品計画と横浜市とで包括連携協定を締結。行政と連携しながら、食品ロスの削減や地産地消推進、地域の課題解決などを小売業の立場から探っていく。スーパー併設型店舗は国内で3店舗目だが、港南台バーズはライブ配信設備も備えた大きなキッチンカウンターを設けている点が他にはない特徴だ。

 同店がある港南台地区は、「昭和に住宅地として発展し、すぐそばには団地もある。高齢化、建物の老朽化などの課題を抱えており、将来の日本の縮図ともいえる場所」と、三品正洋「無印良品 港南台バーズ」店長。オープン前には近隣住民などに聞き取り調査をし、どんなニーズがあるかを分析した。坂が多い街のため、買い物を困難に感じているシニア層が多いことを受けて、「無印良品」として初めて当日配送を実施(横浜市の高齢者優待カードを提示すれば5000円以上の購入で配送無料)。「ゆくゆくは移動販売も可能性がある」と語る。

生鮮品の3割が地元産品 地産地消を推進

 14日にオープンするのは、目玉の食品売り場である地下1階だ。衣料品や生活雑貨を扱う1階は既に4月22日にオープンしている。地下1階は約2970平方メートルで、「無印良品」と食品スーパーの「クイーンズ伊勢丹」、鮮魚店の中島水産の3社が協業し、1万7000強の品目をそろえる(うち「無印良品」の商品は約7000品目)。レトルトカレー、バウムクーヘンなど「無印良品」の人気食品はもちろん、神奈川県産の野菜や鮮魚、精肉の品ぞろえに力を入れており、生鮮食品の3割が地元産品だという。スーパー併設型店舗1号店の大阪のイオンモール堺北花田店、2号店の京都山科店と比べるとややVMDに華やかさが欠ける印象だが、「シニア客が多くなりそうなことを意識した」と広報担当者。

 高島屋の跡地ということもあり、全体的にやや高級感のある品ぞろえにし、近隣のスーパーと差別化する。ワインや日本酒なども一般的なスーパーではなかなか見かけない銘柄が豊富にそろう。高島屋時代からの中元・歳暮需要に対応すべく、発送カウンターを備えたギフトコーナーも設けた。

 「無印良品」として初導入の大型キッチンカウンターは、面積にして約165平方メートル。地元の野菜生産者などを定期的に招き、調理イベントなどを随時開催。その模様は店内のモニターや「無印良品」のアプリ、同店のインスタグラムアカウントから発信する。「普段は顔を合わせることのない生産者と消費者をつなぎ、プラットフォームのようにしていきたい。コロナ禍が落ち着けば、試食なども行う考え」と三品店長。

政令指定都市との包括連携協定締結は横浜市が初

 横浜市との包括連携協定による取り組みでは、食品ロス削減や脱プラスチックを目指す“資源循環”、地産地消の“食と農”、健康維持などの“くらしのサポート”、団地再生などの“街作り”を掲げ、取り組んでいく。同店だけでなく、市内にある他の「無印良品」17店でも取り組みを開始し、まずは不要な食品を店頭で回収して“こども食堂”などに提供するフードドライブ運動を始める。ゆくゆくは、近隣の団地住居のリノベーションなどにも取り組んでいく考え。これまで良品計画は、新潟県十日町市、千葉県いすみ市、福島県浪江町などと地域活性化を第一義とする包括連携協定を結んできた。政令指定都市との締結は今回が初。

 「無印良品」はここ数年、スーパー併設型店舗や、スーパーと隣接する区画への出店を強化している。「(衣料品や生活雑貨などの)物販の来店リピート率は平均月2回ほどだが、生鮮食品は毎日必要。実際にイオンモール堺北花田の店舗には毎日訪れる客がおり、買い回り率も高まっている」と三品店長は出店政策の狙いを語る。

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