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世界最大級の「無印良品 直江津」が新潟・上越にオープン 「土着化」した「超小売業」を体現する店に

 良品計画は7月20日、新潟県上越市の直江津に、国内外の店舗で最大級となる「無印良品 直江津」をグランドオープンする。2019年5月にキーテナントのイトーヨーカドー直江津店が撤退した直江津ショッピングセンターの2階のワンフロア全てで、売り場総面積は約5830平方メートル。オープンに先駆けて14日に行った記者会見で、金井政明会長が「(これからは)やはり地方の時代。東京を向いたショッピングセンターは作りたくない。むしろ否定しようと考えた。地域の方と一緒になって、われわれも巻き込まれながら、地方の素晴らしさを一緒に作っていきたい」と語った注目の店舗だ。

 同ショッピングセンターを運営しているのは、地元のバス会社である頸城自動車。イトーヨーカドーが撤退したことで地域社会の弱体化を懸念し、「イトーヨーカドー撤退後の店作りは、われわれにとって最も重要で喫緊の課題だった」と、頸城自動車の山田知治社長。「無印良品」の出店決定後、ショッピングセンター内の他の空きスペースにも順次テナント出店が決まったという。

 「無印良品 直江津」出店にあたっては、20年1月に良品計画、上越市、頸城自動車の3者で「地域活性化に向けた包括連携に関する協定」を締結。「100年後に上越や直江津をどんな街にしていくか、この店をそうした活動のための拠点としていきたい」と金井会長。村山秀幸上越市長も会見に登壇し、「良品計画の持つ高感度なノウハウや多様なネットワークを借りながら、地域住民のために活力ある市政を行っていく」と話した。

 「無印良品」の他の大型店と同様、自社商品約7000品目を、広い売り場面積を生かしてゆとりを持ってラインアップする。他は、3万5000冊の書籍コーナー、地元の農産物や特産品が並ぶ「なおえつ良品市場」、幅広い世代が楽しめる食品をそろえるフードコートの「なおえつ良品食堂」などで構成。地域の“くらしの真ん中”をコンセプトとしており、衣や住分野に比べて日々の生活により密着しやすい、食分野の充実が店作りのカギだ。

 食の充実の一環として、良品計画からのサブリースの形で、「スターバックス コーヒー(STURBUCKS COFFEE)」や「カルディコーヒーファーム(KALDI COFFEE FARM)」「久世福商店」が売り場内に出店。「『無印良品 京都山科』で、フードコートを地元企業に運営いただいている形はあるが、サブリースの形で外部企業に売り場内に出店いただくのは初めて」と売り場の開発担当者。また、「『なおえつ良品食堂』は地元で人気の飲食店にレシピを共有いただき、運営は良品計画が行っているが、将来的には地元企業に自ら出店・運営していただく形にしていきたい」と続ける。そのような形での地域活性化を目指す。
 
 地域社会の中で、どのように「無印良品」を役立てていくべきかを探るために、5月3日からは、毎月3と8の付く日に直江津市内で行われている朝市にもブース出店。お茶や菓子などの食品を販売している。本部主導ではなく、店頭から生まれたアイデアだという。また、地域への貢献の一環として、頸城自動車が所有するマイクロバスを使用した移動販売を8月初旬から行う予定だ。「雪深く移動が難しい集落や、老人ホーム、大学などを巡って販売をする。ECが発達しても、商品を見て選んで買い物がしたいというニーズはある。コロナ禍で実店舗が休業し、再開した際に同様のニーズを感じた。今後、他の地方大型店でも移動販売を広げていければ」と担当者。また、頸城自動車が運行する直江津・東京間の高速バスに、直江津やバス航路の地域特産品を積載し、「東京のデパートや『無印良品 直江津』で販売することもあり得るかもしれない」といった事業も思い描く。
 
 コロナショックによるデジタルシフトが進む中で、小売業、特に実店舗のあり方は変わりつつある。「われわれは“超小売業”を目指すと以前から言ってきた。20~30年間もモノ余りの時代が続き、物販は厳しいと言われている。でも、人間が生きていくためには小売りが必要で、どのように小売りが存在するべきかを考える必要がある」と金井会長。「デジタルはもっとうまく活用していくべきだが、人間は一人では寂しい。人と人が共働していく場が求められている。実店舗は“土着化”し、地域の人と一緒になって、共有し合う中で街が変わっていく。そういう存在になることこそが小売業の使命」だと語る。