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「マスク荒れ」した肌の救世主は? 大人の男女に取り入れてほしい“高性能乳液”

 2020年の秋から冬にかけて、肌の揺らぎやエイジングサインに悩む大人の女性が、例年より増加するのでは?と予想している。いや、もしかしたら男性も例外ではないのではないか。夏の猛暑下でマスクを着用する(冬場から考えると、約10カ月も着用し続けている)経験は、多くの人にとって過去になかったこと。前回「マスク荒れ」の記事で書いた通り、マスク内の蒸れやこすれ、着脱による急激な温度・湿度の変化が影響し、バリア機能を低下させている人が少なくないと思われるからだ。

 ここに秋冬の温度・湿度低下が加わると、当然バリア機能低下にも拍車がかかる。ただでさえ代謝が低下しがちな大人の肌に、コロナ禍後の秋冬は、どのようなお手入れをすべきなのか?個人的に推奨したいのは、断然「乳液」を取り入れることだ。美容液でもなくクリームでもない、実に基本的なアイテムだが、バリア機能に不可欠な「水」と「油」を、最も効率良く補給してくれるからである。

肌の構造上、「水」と「油」は
絶対に必要な存在

 本当に「そもそもの話し」ではあるけれど、肌の構造上、潤い保持には「水」と「油」の両方が絶対に必要になる。角質細胞同士の隙間を埋める細胞間脂質は「油」だし、肌表面を守る皮脂も「油」。水だけ与えても、構造的に保持することができないうえに、タンパク質である肌をしなやかに保つには「油」が必要だ(革製品を柔軟にするために、オイルやクリームが使われるのと同じ。水だけ与えても柔らかくならない)

 マスク荒れした肌がエイジングサインを表面化させる前に、まず必要なのはバリア機能の立て直しである。この点において、乳液は実に「いい仕事をする」存在なのだ。化粧水よりも油分をきちんと含み、クリームよりも浸透感に優れ「水」と「油」の両方を、角層全体に送り届けてくれる。

 化粧品に水と油を共存させるためには「乳化」という技術が必要だが、日本の乳化技術は実に高度かつ繊細なのだ。優れた浸透感や官能的な感触の乳液が数多く存在し、この秋も高機能乳液が続々登場するため「大人の肌にこれを使わないなんて、もったいない……!」と、心から思ってしまう。以下は少々マニアックに、日本が誇る乳化技術も含め新作の高機能乳液について記したい。

乳液の特性を知り尽くした
ブランドの最新作 アルビオン

 乳液の素晴らしさは、「アルビオン(ALBION)」なくしては語れない。「油の長所をいち早く見出し、アルビオンは1956年の創業時より“洗顔直後の肌に乳液をなじませる”という、乳液ファーストのスキンケアシステムを提案してきました。洗顔後の肌は、水分、油分、NMF(天然保湿成分)など、潤いの源一部が失われた無防備な状態です。アルビオンの乳液はパズルのピースを埋めるように、失われた潤いを一気に補充することを目的としています」とは、二階堂ゆきアルビオンPR担当。まさにバリア機能を立て直す機能を、64年も前から追求してきたことになる。

 アルビオンには現在、乳液だけで16種類が存在し、創業以来製品化された乳液処方は、約200レシピに及ぶという。肌質や目指す肌に合わせ、1品1品、感触や後肌実感が異なるというから驚きだ。そんな乳液のエキスパートであるアルビオンの技術力を結集したのが「エクシア ラディアンスリニュー リッチミルク」である。

 「これまでもエクシアシリーズは、肌親和性に優れた“リン脂質”や“オレイン酸系乳化成分”など最新の乳化成分を用いてきました。今回は新たに、微生物の発酵プロセスで得られる天然の乳化成分“アミノサイクロ”を採用。従来の乳化成分とは構造が異なり、7つのアミノ酸がリング状に連なった環状ペプチド構造をしています」。

 アミノサイクロによる高浸透乳化処方は、非常に高い浸透促進効果を発揮する。一見濃密でありながら塗布するとまろやかにとろけ、肌が飲み干すように浸透していく。内部をふっくら満たす実にリッチな使用感は、最高峰ラインにふさわしい満足度の高いスキンケア体験をかなえてくれるだろう。バリア機能の回復だけでなく、エイジングサインにも迫る、大人のための乳液だ。

緻密な市場調査から生まれた
「ベストオブベストの感触」 
SK-Ⅱ

 「高機能乳液」の先駆者といえば、「SK-Ⅱ」である。今から20年前の2000年に、初代美容乳液のサインズ トリートメントを市場に先駆けて発売。「当時は多忙な女性が増え、ライフスタイルの多様化が進んだ時代です。そこで『SK-Ⅱ』は、保湿だけでなく美容液の機能を合わせ持つ、高機能乳液を開発したいと考えました」と、遠山和美・SK-Ⅱ研究開発担当。美容成分を贅沢に配合した「美容乳液」はその後も進化を続け、7代目にあたるのが「スキンパワー エアリー」である。

 「歴代の美容乳液で最もこだわったのが“テクスチャーの開発”です。一般的にテクスチャーの開発は研究部門、商品開発部門が中心になって行われますが、『SK-Ⅱ』ではここに市場調査の専門家、官能評価の専門家、お客さまの好みを熟知する店舗担当者、さらに統計学の専門家などが加わり、さまざまな角度から検討を重ねます」。

 まずは完成品に近いテクスチャーで数百名単位の大規模調査を行い、その結果をもとに微調整と、さらなる市場調査を繰り返す。「どんな乳化剤をどう組み合わせるか、その結果どんなテクスチャーになるか。さらに、どのような手法でテストをすると有意な差が認められるかなどを分析していきます」。それは「心地良い」「使いたくなる」「満足度が高い」という、言葉では表現しにくい感覚を、統計学的手法を用いて数値化していく高度な作業だ。

 「これらの研究から判明したのは“お客さまが好む感触は時代と共に変化していく”という事実です。歴代の美容乳液は、当然全てテクスチャーが違います。微細な差を突き詰めた結果、2020年現在支持されるベストオブベストの感触が、スキンパワー エアリーの感触なのです」。

 そのベストな感触とは、カスタードクリームのようになめらかであり、肌の上でスッととろけ、角層と一体化するようなテクスチャー。もっちりとした弾力感を呼び覚まし、自然なツヤを宿した肌へと導く。「現在求められているのは、一言で表現するなら“万能感”でしょうか。濃密でありながら浸透感にすぐれ、何か一つに特化するのではなくあらゆる悩みに対し手応えがある。スキンパワー エアリーは、保湿を越えたラグジュアリーな肌感触をご体験頂けると思います」。

ベンチャー企業ならではの
革新的な乳化技術 美透花

 水と油を共存させる「乳化技術」に関して、一歩先を行くテクノロジーを採用しているのが、「美透花(BITOKA)」の「クリスタルクリーム」だ。実はこの製品、乳液ではなくクリームのカテゴリーなのだが、その感触のみずみずしさには驚くべきものがある。何より驚かされるのが「見た目が透明であること」だ。

 「一見ジェルのようですが、処方の上ではれっきとしたクリームです。水と油を共存させたエマルション粒子は白濁していることが多いのですが、『美透花』は“ナノエマルションテクノロジー”を採用し、通常の約25分の1まで粒子を極小化することで、かつてない透明なクリームの開発に成功しました」と話すのは、下村祐貴子BITOKAブランドディレクター。

 エマルション粒子が可視光領域のどの光の粒子よりも小さいため、人の目には「色のあるもの」として認知されず、透明に見えるという。またエマルション粒子が極小であるが故に、浸透感に優れているのも特徴だ。塗布するとぱしゃっとはじけ、化粧水のようにみずみずしく浸透し、使用後は“オイル感”を感じるという、なんとも不思議なテクスチャーである。乳液やクリーム特有のべたつきが苦手な方は心地良く使えるし、角層と一体化するような薄膜のベールで、バリア機能のサポートにも力を発揮する設計だ。

 「透明なクリーム」という革新的な製品が誕生した一方で、既存のクリームとはイメージが異なるだけに、ユーザーへの啓蒙が必要になるだろう。それでも、クリームの常識に挑戦し新境地を開拓した、ベンチャー企業ならでは製品といえる。

プチプラの世界にも
名品乳液が誕生 ナチュリエ

 ここまでご紹介してきたのは、いずれも高価格帯の製品だが、ドラッグストアなどで手に入るプチプラの製品にも、この秋は珠玉の乳液が登場する。「ナチュリエ(NATURIE)」の「ハトムギ浸透乳液」だ。同シリーズの「ハトムギ化粧水」は、累計出荷数が5100万本突破。続く「ハトムギ保湿ジェル」は累計出荷数1100万個を突破するという大ベストセラー。日本人好みのみずみずしい感触で成功してきた「ナチュリエ」が、なぜ今あえて「乳液」を開発したのだろう?

 「お客さまからのお声で最も多かったのが“乳液はないの?”というご意見でした。改めて調査すると、『ハトムギ化粧水』愛用者の約2人に1人は乳液を使用し“乳液は使用量が多いとべたつくが、量を減らすと保湿力が足りない”という保湿のジレンマを抱えていることが分かりました」(長島亜希子・ナチュリエPR担当)。

 このジレンマを解消するために、保湿性に優れたベタインを配合。さらに油溶性のシーリングオイルと水溶性のシーリングアクアが、肌表面で二層のベールを形成する処方を開発した。肌表面だけでなく内側にも水分を抱え込むことで、べたつくことなく、浸透感に優れた乳液を実現。何より230mLで1000円以下という、価格設定が素晴らしい。顔はもちろんボディーに惜しみなく使えるという意味でも、乾燥の季節に幅広く活躍してくれるだろう。

 高温多湿な日本の気候下では、油の持つ「ベタつき」が敬遠されやすい。さらに、肌の調子が優れない時ほど「美容液に頼りたい」という気持ちも、とても共感できる。その一方で、バリア機能が乱れた大人の肌には「水分」「油分」が絶対に必要であり、乳液は両者を効率良く肌に届けることに長けたアイテムでもある。

 日本の乳化技術は本当に素晴らしく、今回は(乳液愛に溢れて)マニアックに語ってしまったけれど、市場には高機能、かつ官能的な乳液が数多存在する。マスク荒れ、そしてエイジングサインに悩む大人にこそ、ぜひ1度手にとってみて欲しい。保湿以上の充実感をきっと体感できるはずだから。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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