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モデルはアバター、3Dオンラインショップでも販売 ヘルシンキ・ファッション・ウイークが完全デジタル化

 7月27日から8月2日にかけて開催されたIT先進国フィンランドのヘルシンキ・ファッション・ウイーク(以下、HFW)は、デジタルの新たな可能性を探るものだった。「デジタル・ビレッジ(DIGITAL VILLEGE)」と呼ぶオンラインプラットフォームを舞台にした同イベントには、31組のデザイナーが参加。そのうち、「デザイナー・レジデンシー・プログラム」に取り組む国際色豊かな15組は数カ月前から3Dデザイナーとタッグを組んでデジタル化したコレクションを、リアルなモデルを3Dスキャンしたアバターに着せて披露した。

 今回の取り組みに関してラグジュアリーブランドやコンサルティング会社から問い合わせを受けているというエブリン・モーラ(Evelyn Mora)HFW創設者は、デジタル・ファッション・ウイークは物理的なファッション・ウイークの代替案や二次的な手段ではなく、特にサイバースペースにおけるファッションの未来を見据えた“今までとは異なる新しい方法”だと主張。「物理的なコレクションやそのための戦略があるなら、それらを必ずしもデジタルの世界にコピー&ペーストすべきではない。けれど、全く異なる戦略としてデジタルのチャンスを取り入れることはできる」と話す。

 そんなデジタル・ショーケースを最も直接的に活用できるのは、ゲームやオンラインコミュニティーだ。その中ではファッションデザインがデジタルアセット(資産)として扱われ、アバターに着せたりすることができるほか、ブランドに実際のアイテムをオーダーすることもできる。実際、HFWはブロックチェーンパートナーのルクソ(LUKSO)の力を借りて、3Dオンラインショップをオープン。同ショップには参加デザイナーのバーチャルなルックが並び、ユーザーは3Dデザインのアイテムをデジタル上で着用するというサービスを250ユーロ(約3万1000円)で購入することもできるようになっている。この取り組みについて、マージョリー・ヘルナンデス(Marjorie Hernandez)=ルクソ共同創業者は「テクノロジーの世界では皆、デジタル上での収集品における価値を理解しているけれど、ファッションの世界にとっては新しい概念」だとコメント。ブロックチェーン技術を活用することで、ファッションデザイナーたちはアセットとなるデジタル化されたプロダクトを生み出し、取引に用いることができると説明する。

 またHFWはもともとサステナビリティに力を入れており、新型コロナウイルスの感染が拡大する前からデジタル化を決めていた。8月下旬にスウェーデンの監査法人ノーマティブ(NORMATIVE)と共同で、デジタル・ショーケースの環境への影響をこれまでの物理的なファッション・ウイークと比較測定したデジタル・サステナビリティ・リポートを発表する予定だ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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