フォーカス

ケリングがサステナビリティ活動の中間発表 2025年の目標達成に向けて順調に推移

 「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を擁するケリング・グループは1月30日、サステナビリティ活動の中間発表を行った。これは、2017年に発表した2025年をゴールとする次世代のサステナビリティ戦略「Crafting Tomorrow's Luxury - 未来のラグジュアリーを創造する」の進捗報告で、会場は、同グループがメインスポンサーを務めるフランス・パリのグラン・パレで開催中のサステナビリティサミット「チェンジ ナウ(Change Now)」のカンファレンスルームだ。

 チェンジ ナウは2年ぶり2回目の開催で、規模が急速に拡大した。有識者によるパネルディスカッションやスタートアップ企業の活動報告といったカンファレンスに加え、スタートアップ企業がブースを出展しパートナー企業や投資家などを探す場にもなっている。

 中間発表で登壇したマリー・クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu)チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼国際機関渉外責任者は「堅調な進展を遂げ、地球温暖化を1.5℃未満に抑える道筋の基礎を築いている。頼もしい成果である一方で、今後数年でさらに前進するためには、やるべきことが膨大にある」と語る。

今回、発表された主な項目は下記のとおり。

1. グループ全体の環境への影響は、15~18年の間にEP&L(環境損益計算書)の原単位で14%削減され、25年までに40%削減するという目標の実現に向けて好調に推移

2. グループの直接的な事業活動で15~18年の間にGHG(温室効果ガス)排出量を原単位で77%削減

3. グループ全体の再生可能エネルギーの使用率は67%、少なくとも7カ国で100%を達成

4. ジュエリーや時計には、100%エシカルゴールドを調達

5. 主要原材料のトレーサビリティは88%

 また、フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=会長兼最高経営責任者のコメントも発表された。「私たちは、法的責任の範囲外の活動も含め、ケリングの事業活動が及ぼした影響について、透明性のある報告をすることに長年取り組んできた。サプライチェーン全体に対する高い目標を立て、サステナビリティに向けた進捗を記録することで、確実に気候変動対策と社会面の便益を進展させているのを確認することは欠かすことのできない取り組みだ。新たな10年のスタートにあたり、私たちの業界は大胆な行動を起こさなければならない。私たちが自社の脱炭素化の挑戦に効果的に取り組むためには、透明性と幅広い協力が重要だ」。

 ケリングのサステナビリティ戦略はグループのラグジュアリー・ブランドを包括しており、自社の事業活動とサプライチェーン全体について73の環境重要業績評価指標(eKPI)で測る。これには、店舗、事務所・倉庫、輸送、製造・加工、原材料の生産と最終製品まで含まれる。また、目標の3本柱はケア(配慮)、コラボレート(協業)、クリエイト(創造)で、25年のサステナビリティ目標へ向けたこれまでの主な成果は下記のとおり。

地球へのケア(配慮)

・15~18年の間でグループ全体の環境への影響をEP&Lの原単位で14%削減

・15~18年の間で自社の事業活動において、グループのGHG排出量の原単位を77%削減

・再生可能エネルギーの使用率は少なくとも7カ国で100%、ヨーロッパでは78%、グループ全体では67%を達成

・15~18年の間で科学的根拠に基づく目標(SBT)として掲げるGHG排出量50%削減に対し、原単位を36%削減

・最優先事項としてGHG排出を回避・削減し、毎年残りの排出量をオフセット(相殺)することで、グループとして18年現在、自社の事業活動とサプライチェーン全体において完全にカーボンニュートラルを実現

・18年1月に、環境保護、社会福祉、トレーサビリティー、化学薬品使用、動物福祉のベストプラクティスを進める「原材料および製造プロセスに関する基準」を開発しオープンソース化。グループはすでに68%の調整を達成

・宝石や時計に関して100%エシカルゴールドの調達を達成。25年までに他の主要な原材料についてもサステナブルな調達を100%にする目標に取り組んでいる

・25年までに主要原材料のトレーサビリティーを100%にする目標に対して88%を実現

・19年5月、業界では初となる動物福祉のスタンダードを策定

・民間企業として初めて「生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」と提携して、生物多様性科学を支援

・ラグジュアリー産業で初めて17年の結果を18年の統合報告で発表。また、企業の持続可能性の意義を投資コミュニティーと共有するために、19年11月に、特にグループのESG(環境・社会・ガバナンス)基準に焦点を当てた説明会を開始

人々とのコラボレーション(協業)

・18年の時点で、ケリング・グループのマネジャーの50%、全従業員の63%、エグゼクティブ・コミッティーのメンバーの33%、取締役の60%が女性。CAC40指数(ユーロネクスト・パリの株価指数)を構成する企業の中で、シニアマネジメントにおける女性の割合が最も高い企業のひとつに

・60近い国々の全ての従業員を対象に、先進的な育児休暇ポリシー(養子を含む父親、母親の育児休暇に関する規定)を策定し運用

・モデルの福利に関する憲章を策定して実施。18歳以上のモデルのみを起用

・マイクロローン、スキルトレーニング、教育を通じてサプライチェーンの地域の女性のエンパワーメントを支援

・サステナビリティとラグジュアリーファッションに特化した初めてのMOOC(大規模公開オンラインコース)をロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)と共同で開発。コースを中国語にも翻訳。これまでに、150カ国から、3万3500人を超える受講者が無料で参加

・パリの服飾学校、IFM(Institut Francais de la Mode)で高等教育・研究センター「IFM - ケリング・サステナビリティ・チェア」を開設

・次世代の職人のサポートによりラグジュアリーのノウハウとクラフツマンシップを保持。19年時点で20を超えるプログラムを開設

新しいビジネスモデルとイノベーションのクリエーション(創造)

・中国語圏で前途有望なスタートアップやテクノロジーを発掘するため、プラグ&プレー(Plug and Play)と「K Generation Award」を中国で共催。また、世界中のスタートアップ企業にも投資

・ウオッチ&ジュエリー用にサステナブル・イノベーション・ラボ(SIL)を設立。マテリアル・イノベーション・ラボ(MIL)の規模を拡大し、3800のサステナブルな生地を所蔵

・持続可能な原材料への転換をサポートするため、エシカル・ゴールド・プラットフォームなどの融資メカニズムを構築

・サプライチェーンを通して、トレーサビリティーの技術、マッシュルームレザーや環境に優しい染色など環境への影響が少ない代替材料と製造プロセスなどを試行。19年末には金属を使わないなめし方法をコレクションの24%に採用

・素材の再利用と商品の提供に、リサイクルや再生利用のオプションを取り入れるための新しい方法に注力

・ファッション業界で初めて再生農業に関するパートナーシップを締結

・ステークホルダーに対して透明性を提供するために「デジタル EP&L」を立ち上げ、ラグジュアリー業界やファッション業界に対し、自らが環境に与える影響の複雑さについて理解を進めるための基礎データをオープンソース化

・業界全体で広がる循環性を支持する姿勢に対して、消費者が製品の使い方や寿命について理解するための国際的な調査を実施

・ファッション&テキスタイル業界における主要企業が、主な環境問題に関して結束するための「ファッション協定(Fashion Pact)」を創設。59の企業が調印し、約250のブランド、産業の30%以上が参加

最新号紹介

WWD JAPAN

2020年春夏、コロナ禍でも売れたものは何だった? 富裕層の高額品消費意欲は衰えず

「WWDジャパン」9月21日号は、「2020年春夏、有力店で売れたもの」特集です。WWDで毎シーズン恒例となっている有力店の商況調査ですが、コロナ禍に見舞われた今春夏は、多くの商業施設が営業を再開した6~7月の期間で消費動向や好調なブランドを調査しました。化粧品、特選、婦人服、紳士服などの9つのカテゴリー別に各店のデータをまとめています。コロナで大苦戦という声が大半を占めると思いきや、こと特選カテ…

詳細/購入はこちら