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「『アズール』に求めているものはそこではない」 顧客の期待と商品戦略のズレ、村井社長が長期低迷を反省

バロックジャパンリミテッドが10月15日に開いた2027年2月期中間決算説明会で、村井博之社長が主力ブランド「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」の長期低迷について語った。トレンドを捉える感度と独自の商品開発力で、長年にわたり日本のアパレル業界をけん引してきたバロック。しかし、低迷からの脱却を図って今春打ち出した商品は、従来の顧客が求めるものと乖離し、かえって上期の販売不振につながった。村井社長は「市場を分析し過ぎてしまった」と振り返り、上場後の経営姿勢への反省も口にした。質疑応答からは、苦戦が続くバロックの現状と、再建に向けた村井社長の考えが浮かび上がった。

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──「アズール」の足元の状況や各ブランドの下期の見通しについて説明があったが、「ザ・シェルター トーキョー」の閉店やECのシステム不具合などを考えると、下期の業績立て直しについてどう考えているか。

村井博之社長(以下、村井):「アズール」は今期の立ち上がり、春に苦戦したが、その後、夏から巻き返し、この秋も引き続き好調に推移している。下期での挽回は可能だと考えている。ECについても、システムトラブルは思ったほど深刻な状況ではなく、早期に正常稼働に戻っている。今後は安心してECビジネスに対するプロモーションや施策を打っていける。こちらもきちんとした数字を残せると確信している。

顧客が「アズール」に求めていたもの

──「アズール」の客数が回復してきたとのことだが、上期後半はどのような施策が奏功したのか。

村井:「アズール」の商品については、ここ数年、迷走していたというわけではないが、ブランドがスタートした15年以上前から業界の環境は大きく変わってきた。海外の「H&M」や「ザラ(ZARA)」、国内の「ユニクロ(UNIQLO)」など、大手SPA企業が存在感を高める中で、われわれがどのように「アズール」をお客さまに訴求していくかが課題だった。

もっとベーシックな商品に寄せた方がよいのではないか、あるいはバロックらしさを出していくべきではないかと、社内でもさまざまな議論を重ねながらブランドの方向性を変えてきた。その中で、この春は一度、世の中の潮流であるベーシックな商品に寄せて作ってみようと、大きなチャレンジをした。

しかし、立ち上がり早々、お客さまから「『アズール』に求めているものはそこではない」というフィードバックを多数いただいた。他社との差別化が必要で、他社と同じようなものをバロックが作っても、お客さまの期待とは違う。本来のバロック、そして「アズール」が持っているユニークな商品やデザイン性をきちんと打ち出したことが功を奏したと思う。

「分析すればするほど迷いが出てきた」

──「アズール」の苦戦が長く続いている印象を受ける。長期化した要因をどう捉えているか。また、踏み込んだ打開策を打ち出す考えはあるか。

村井:苦戦が続いている期間が長過ぎることは、私が誰よりも痛感している。私自身も、経営メンバーやブランドのメンバーも、何度もいろいろな反省をしてきた。バロックは2000年に創業してから上場するまで、連戦連勝、負け知らずで急激に拡大していった。そのツケが上場後に回ってきてしまったのかもしれない。

私自身の反省として、バロックは長年、「攻撃が最大の防御」というやり方で、次々に新しいブランドを立ち上げ、新しいアイデアで商品を開発してきた。しかし、会社が上場した後、どんどん市場を分析するようになり、分析し過ぎてしまった。それまでは分析をせずに、自分たちが作りたいもの、自分たちが発信したいものを作ってきた会社だった。それが分析型になると、分析すればするほど迷いが出てきてしまう。それが「アズール」の長期低迷につながったと反省している。

今はその反省がきちんとできている。やはり自分たちが作りたいもの、そしてお客さまの要望に応えられるとわれわれが信じているものを届けることが、こうした問題の解決につながり、業績回復の最短の手段になると考えている。

M&Aについて「経営の独立性を保ちたい」

──ワールドとTSIホールディングスの経営統合が発表されたが、M&Aについてどのように考えているか。

村井:今回の経営統合のニュースは、われわれにとっても非常に驚きだった。ただ、現在の日本の小売業、とりわけファッション小売業を取り巻く外部環境の厳しさを考えると、こうしたことが起こるのも理解できる。

すでにドラッグストア業界などでは経営統合や業界再編が進んでいる。ただ、バロックジャパンとしては、われわれ自身の経営方針を基に、お客さまにバロックにしかない商品を届けるということを大切にし、今後も経営の独立性を保っていきたいと考えている。

「秋の商機を逃さず、商品を売り切る」

──今回の下方修正を踏まえ、下期に最優先で立て直す課題は何か。

村井:ここ数年、日本では「秋がない」と言われてきた。かつてアパレル業界にとって秋は一番の売り上げ時期だったが、秋らしい気候がなくなったことで、ずっと苦戦してきた。そうした中で、今年は久しぶりに秋が戻ってきた。われわれもこの秋の商機を逃さず、自信を持って開発した商品をきちんと売り切っていきたい。その売り上げをどう取っていくか、セール施策などを間違えないようにしていくことが重要だ。せっかく秋が戻ってきたのだから、いつもと同じように11月になると各社がセールを始め、そのセール商戦に巻き込まれて利益率を落とすということがないよう、心して臨みたい。

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