自由な社風と高いファッション感度で知られる「ビームス(BEAMS)」。1976年に東京・原宿に誕生した日本を代表するセレクトショップであり、2026年に創立50周年を迎える。ファッションだけにとどまらず、アートや音楽、インテリア、日本のカルチャーまで幅広く発信する同社は、業界を志す学生にとっても憧れの存在だ。
ビームス本社で働く、社員4人をキャッチ
東京・原宿の神宮前タワービルディング内に構えるビームス(BEAMS)のオフィスは、3階から7階までの5フロアで構成。
3階の来客待合スペースには、民芸品やユニークなオブジェが並び、待ち時間も楽しめる空間に。受け付けの奥には、「ビームス」のこれまでの歩みやアーカイブを紹介する展示スペースも設けられている。また、各フロアには、厳選された絵画をディスプレー。ファッションにとどまらず、多様なカルチャーを発信してきた同社らしさが、オフィスの随所に表れている。
そんな「ビームス」で働く社員は、普段どんな服装で出勤しているのだろうか?
オフィスでの快適さや機能性を確保しながら、仕事柄求められるきちんと感や、それぞれの個性をどうスタイリングに落とし込んでいるのか。プレスやディレクター、バイヤーなど、さまざまな職種で働く社員のリアルなオフィスコーデを紹介する。
沼田倫宏:“きちんと感”を自分らしく着崩す
トップス/「クレージュ(COURREGES)」、パンツ/「マチュアリー(MATURELY)」、シューズ/「カンペールラボ(CAMPERLAB)」、アイウエア/「ウェイティングフォーザサン(WAITING FOR THE SUN)」
メディア対応やリース業務、ビジュアル制作など、多岐にわたる広報業務をこなすプレスの沼田さん。社内での業務も多いが、外部との交流も活発のため、リラックス感ときちんと感の両立が大切となる。この日の沼田さんのコーディネートのテーマは、「きちんとしていながらも自分らしさを忘れないスタイル」だ。
「最近はポロシャツにハマっています。じめっとした暑さが続いているので、涼しさを確保しつつも、プレスとしてのきちんと感を演出できる点が魅力的です。ボトムスはとろみ感のある『マチュアリー』のカーゴパンツをチョイス。ウィメンズのアイテムなのですが、ゆったりとしたサイズ感とシルエットできれいに履けるんです。『ビームス』らしいミックス感と抜け感を意識しています」。
デスク作業時の気分を上げる工夫として挙げたのは、手元のリング。パソコンのタイピング中、最も視界に入る手元にお気に入りのアクセサリーをまとうことで、業務中のモチベーションを維持しているという。
佐藤美樹:メンズライクを女性らしく
ジャケット/「マアイ(MAAI)」、Tシャツ/「ベースレンジ(BASERANGE)」、パンツ/「エルメス(HERMES)」のビンテージ、アイウエア/「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」、ベルト/「インターナショナルギャラリー ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)」、シューズ/「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」、バッグ/ビンテージ
「ビームス」から、26年9月19日に誕生したばかりの「マアイ(MAAI)」。同ブランドのオリジナルアイテムの企画や生地、カラー選定のディレクションを手掛ける佐藤さん。店舗での豊富な販売経験を持っているため、消費者のリアルな視点を取り込むことを得意とする。
そんな佐藤さんのお気に入りの主役アイテムは、「マアイ」のジャケットだ。「オリジナルで色と柄を組んだ一着です。“おじさんライク”な色使いですが、サイジングや袖をまくった抜け感づくりで女性らしく着こなすのが気分。メンズライクな仕立てだからこそ、スタイリングでの崩しがいがあります」。
佐藤さんがビジネスシーンでよく取り入れるアイテムがメガネだ。「伊達メガネを取り入れるだけで、やっぱり仕事できる人感が増すんです。打ち合わせの際や、外出のときはよくかけているかもしれません」とコメント。この日は、大ぶりな「ボッテガ・ヴェネタ」の黒縁メガネを着用し、フォーマルな印象を演出。アイウエアで全体の印象を巧みにコントロールするのが、佐藤さん流のテクニックだ。
川上沙耶香:楽な服こそ、小物で引き締める
Tシャツ&キャミソール/「ババコ(BABACO)」、レイヤードしたシアーキャミソール/「オーバーニース(OVERNEATH)」、パンツ/「マチュアリー」、ネックレス/「シシ ジョイア(SISI JOIA)」、シューズ/「エイティーズ(EYTYS)」、裾を結んだバレッタ/「レゴ(REGO)」
「レイ ビームス(RAY BEAMS)」のバイイングやオリジナル小物の企画を担当している、バイヤーの川上さん。長時間の座り仕事が多いオフィス環境において、スエットパンツなどの楽なボトムスは欠かせない存在だという。「スエットパンツは部屋着に見えがちなので、サイズ感やカラーリングでしゃれ感を演出できるように選んでいます。この『マチュアリー』のパンツは履き心地も良くて、2色買いしました」。
今回のコーデのお気に入りアイテムは、「シシ ジョイア」のマルチカラーネックレス。「ゆるっとしたラフなボトムを履く日こそ、タイトなトップスを合わせたり、シックなジュエリーやレザーシューズで全体をピリッと引き締める工夫をしています」と、ダル着に見えない工夫がなされている。
松廣隼太:ビンテージに現代的なエッジを添える
シャツ/「グッチ(GUCCI)」のビンテージ、パンツ/「タム(TAMME)」、バングル/「トーガ(TOGA)」、チョーカー&シューズ/「アワー レガシー(OUR LEGACY)」
「ビームス」公式サイトのコラム記事やルック撮影など、編集者としてコンテンツ制作を担当するオウンドメディア課所属の松廣さん。
お気に入りの一着は、2001年トム・フォード(Tom Ford)期の「グッチ」のシルクシャツだ。「ノーカラーの抜け感と、シルク100%の着心地の良さが気に入っています。古着テイストに偏りがちなスタイルも、これ一枚で優雅な雰囲気を演出できるんです。ボタンは第二ボタンまで開けて抜け感を出しつつ、胸元に『アワーレガシー』のチョーカーをプラス。シンプルな装いのときこそ、アクセサリーの重ね付けでアクセントを効かせています」。
快適さを第一に考えながらも、サイズ感や色使いで個性を表現する「ビームス」社員のオフィススタイル。一見ラフに見えるアイテムも、緻密なバランス計算によって品良く昇華させるテクニックは、毎日の通勤コーディネートの大きなヒントになりそうだ。